研究実績の概要 |
本研究では、マイクロフロー法を活用して電子過剰系芳香環のα位sp3炭素上での求核置換反応の確立と基礎化学的知見の獲得と体系化を目指し、3年間でインドール、フラン、ピロールのα位sp3炭素上での求核置換反応を開発する。2023年度は、2022年に開発したマイクロフロー合成法による求核置換反応の基質適用範囲の検討を完了する計画である。 インドール-3-メタノールおよび3-フェニル-2-フルフリルアルコールおよびそれらの類縁体を基質として、基質適用範囲の検討も実施した。種々の置換基をもつインドール-3-メタノール類縁体および2-フルフリルアルコール類縁体において、フローでの求核置換反応に適用できた。また、N求核剤(アジ化物イオン、アミン)、S求核剤(チオール、スルフィン酸イオン)、C求核剤(メルドラム酸)はいずれも求核剤として適用できた。 また、さらなる基質適用範囲の拡張を志向して、インドール-3-カルバルデヒドに対するアルキルリチウムの1,2-付加~生成するアルコキシドのハロゲン化~ハロゲン化物に対する求核置換反応の3段階ワンフロー法を検討した。N-メチルインドール-3-カルバルデヒドを基質とした際、種々の条件検討の結果、アルコキシドを塩化チオニルとクラウンエーテルで20秒かけてハロゲン化した後にアミン求核剤で捕捉することによって高収率で目的物を得ることができた。N上に置換基をもたないインドール-3-カルバルデヒドを基質とした場合には、塩化チオニルのみ用いてハロゲン化した後にアミン求核剤で捕捉することによって高収率で目的物を得ることができた。本フロー反応もS求核剤(チオール、スルフィン酸イオン)やC求核剤(メルドラム酸)に適用可能であった。 以上の通り、2023年度に計画していた基質適用範囲の検討は完了している。本成果によって、論文発表1件を報告した。
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