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2022 年度 実施状況報告書

α,β,γ,δ-不飽和イミンを用いた新規ドミノ反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05094
研究機関三重大学

研究代表者

八谷 巌  三重大学, 工学研究科, 教授 (50312038)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード不飽和イミン / ドミノ反応 / アルキニルケトン / ヘテロ環化合物 / アルキニルイミン / 生物活性化合物
研究実績の概要

複雑な構造を有する含窒素生物活性化合物や機能性材料の効率的な合成のために、新規ドミノ反応の開発は、今なお強く求められている。研究代表者は、α,β-不飽和イミンへの1,4-付加反応を含むドミノ反応により、様々な含窒素ヘテロ環合成法を開発している。本研究では、不飽和結合を二つ有するα,β,γ,δ-不飽和イミンを求電子剤に用いた新規ドミノ反応の開発を目的とする。具体的には、一つ目の求核剤のケテンシリルアセタール(KSA)、またはケテンシリルチオアセタール(KSTA)が1,4-付加して生成した高反応性中間体イミノシクロブテノン、またはイミニウム塩へ、第2番目の異種求核剤を連続付加させることによって多官能基を有する含窒素合成中間体を得る。さらに、得られた合成中間体の官能基変換によって、生物活性化合物や機能性材料の基本骨格である含窒素ヘテロ環化合物を合成する。令和4年度は、α,β,γ,δ-不飽和イミンの代わりにブロモ基を有するα,β-アルキニルイミンに対し、カリウムヘキサメチレンジシラジド(KHMDS)存在下、フェニルメチレン保護基を有する2-アミノマロン酸エステルを共役付加させた後、脱保護を行うことにより、3-アミノ-4-(2-ブロモフェニル)-2-ピリドンを得ることに成功した。芳香環上に電子供与、求引基、ヘテロ環を有する際も目的の3-アミノ-2-ピリドンを得ることに成功した。得られた3-アミノ-4-(2-ブロモフェニル)-2-ピリドンに対し、パラジウム触媒を用いた分子内アミノ化反応を行い、2,3-二置換β-カルボリン-1-オンを得ることに成功した。また、ジアルキニルケトンに対して5 mol%のスカンジウムトリフラート存在下、求核剤としてケテンシリルアセタールを作用させることでドミノ1,4-付加反応が進行し、様々な置換基を有する多置換δ-ラクトンが得られることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ジアルキニルイミンに対してスカンジウムトリフラート存在下、求核剤としてケテンシリルチオアセタールを作用させることでドミノ1,4-付加反応が進行し、多置換δ-ラクタムが得られることを見出したのに続き、α,β,γ,δ-不飽和ケトンにおいても求電子剤にケテンシリルアセタールを用いた新規ドミノ反応の開発に成功し、様々な置換基を有する多置換δ-ラクトンが得られることを明らかにすることができたため。

今後の研究の推進方策

令和5年度以降は、令和4年度に得られたα,β,γ,δ-不飽和ケトンの新規ドミノ反応の知見をもとに、当初計画していたα,β,γ,δ-不飽和イミンを求電子剤に用いた新規ドミノ反応の開発を目的とし、一つ目の求核剤のケテンシリルアセタール(KSA)、またはケテンシリルチオアセタール(KSTA)が1,4-付加して生成した高反応性中間体イミノシクロブテノン、またはイミニウム塩へ、第2番目の異種求核剤を連続付加させることによって多官能基を有する含窒素合成中間体を得る。さらに、得られた合成中間体の官能基変換によって、生物活性化合物や機能性材料の基本骨格である含窒素ヘテロ環化合物の合成を検討する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Synthesis of 3,6‐Disubstituted 4‐Ethoxycarbonylpyranoindol‐1‐ones Utilizing 3‐Amino‐2‐pyrone Synthesis2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuoka Kota、Imai Katsutoshi、Hirano Kotaro、Goto Shinsuke、Miura Ryoya、Hachiya Iwao
    • 雑誌名

      Asian Journal of Organic Chemistry

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.1002/ajoc.202200110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of 2,3,6‐Trisubstituted β‐Carbolin‐1‐ones Utilizing 3‐Amino‐2‐pyridone Synthesis2022

    • 著者名/発表者名
      Masuda Hiroyoshi、Morishita Hiroki、Sasaki Rikuto、Takahata Kaito、Uemura Kento、Hachiya Iwao
    • 雑誌名

      ChemistrySelect

      巻: 7 ページ: -

    • DOI

      10.1002/slct.202201737

    • 査読あり
  • [学会発表] 2-アミノマロン酸ジエチルのアルキニイミンへの共役付加反応を用いた3-アミノ-2-ピリドン合成を経るβ-カルボリン-1-オンの合成2023

    • 著者名/発表者名
      増田大慶・○森 保乃華・森下裕貴・佐々木陸斗・高畑海渡・植村健人・八谷 巌
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] 2-アミノマロン酸ジエチルのアルキニルケトンへの共役付加反応を用いた 3-アミノ-2-ピロン合成を経るピラノインドール-1-オンの合成2023

    • 著者名/発表者名
      福岡宏太・○山﨑 蓮・今井克俊・平野航太郎・後藤信介・八谷 巌
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] スカンジウムトリフラートを用いたジアルキニルケトンへのケテンシリルアセタールのドミノ1,4-付加反応の開発:多置換δ-ラクトンの合成2023

    • 著者名/発表者名
      井阪 圭佑・〇川添 敦也・鈴木 麻知代・渡辺 裕也・八谷 巌
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] ジアルキニルケトンへのドミノ 1,4-付加反応を用いたδ-ラクトンの合成2022

    • 著者名/発表者名
      〇井阪 圭佑・渡邉 裕也・鈴木 麻知代・川添 敦也・八谷 巌
    • 学会等名
      第53回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [学会発表] シアノカルボニル化合物の環化反応によるピロールの合成2022

    • 著者名/発表者名
      〇栃木 駿哉・竹下 敏暉・八谷 巌
    • 学会等名
      第53回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [学会発表] 3-アミノ-2-ピロンの分子内アミノ化反応によるピラノインドール-1-オンの合成2022

    • 著者名/発表者名
      ○福岡宏太・今井克俊・平野航太郎・後藤信介・八谷 巌
    • 学会等名
      第51回複素環化学討論会
  • [学会発表] パラジウム触媒を用いた 3-アミノ-4-(2-ブロモフェニル)-2-ピリドン の分子内アミノ化を鍵反応とする 2.3-二置換 β-カルボリン-1-オンの合2022

    • 著者名/発表者名
      ○増田大慶・森下裕貴・佐々木陸斗・高畑海渡・植村健人・八谷 巌
    • 学会等名
      第51回複素環化学討論会
  • [学会発表] 四ヨウ化チタン/トリメチルシリルヨージドを用いたシアノカルボニル化合物の環化反応によるピロールの合成2022

    • 著者名/発表者名
      竹下 敏暉・栃木 駿哉・〇八谷 巌
    • 学会等名
      第25回ヨウ素学会シンポジウム
  • [学会発表] パラジウム触媒を用いた3-アミノ-4-(2-ブロモフェニル)-2-ピロンの分子内アミノ化反応による3,6-二置換4-エトキシカルボニルピラノインドール-1-オンの合成2022

    • 著者名/発表者名
      ○平野航太郎・福岡宏太・今井克俊・後藤信介・三浦諒也・八谷 巌
    • 学会等名
      第68回有機金属化学討論会

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公開日: 2023-12-25  

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