生体分子の複合化に有用な多分子連結型DACN(DACN-MMC: DACN derived Multi-Molecule Connector)としてDACN-NHS ester,DACN-maleimideを設計,合成するとともに,それらを用いた生体分子の複合化について検討した.DACN-NHS ester,DACN-maleimideはそれぞれアルキン部位でのアジド分子とのHuisgen反応と,NHS ester部位でのアミン分子とのアミド化反応もしくはmaleimide部位でのチオール分子とのthia-Michael反応によってmol1,mol2を複合化することができる. 2022年度の研究において,DACN-NHS ester,DACN-maleimideの効率的合成とそれらを用いた生体分子の複合化に成功した.具体的には,DACN-NHS esterをもちいてリシン残基を有する生物活性ペプチドとアフィニティタグ分子であるビオチンのアジド化体の複合化について検討して良好な結果を得た.本法は,リシン残基を有する様々なペプチドの化学修飾への応用が期待される.さらに,DACN-maleimideをもちいてシステイン残基を有する生物活性ペプチドと蛍光色素であるDansyl基を有するアジド化体の複合化について検討して良好な結果を得た.本法は,システイン残基を有する様々なペプチドの化学修飾への応用が期待される.
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