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2022 年度 実施状況報告書

新しいカルベン前駆体の創成と有機合成への活用

研究課題

研究課題/領域番号 22K05098
研究機関東京理科大学

研究代表者

石田 健人  東京理科大学, 理工学部先端化学科, 助教 (90735755)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードカルベン / カルバモイルボラン / オキシカルベン種
研究実績の概要

研究代表者は既に、カルバモイルボランとアルデヒドの混合溶液を加熱すると、カップリングを起こしたαーヒドロキシカルボキサミドが収率よく得られることを見出している(Chem. Commun. 2022, 58, 1625-1628.)。本反応では、カルバモイルボランから熱的に(アミノ)(ボリルオキシ)カルベンが生成し、これがアルデヒドに求核付加を起こしているものと考えられ、カルバモイルボランをカルベン前駆体として利用した初の合成反応である。今年度はまず、カルバモイルボランをカルベン前駆体として利用した新たな合成反応の開発を検討した。まず、アルデヒド以外の様々な求電子剤を用いてカップリング反応の検討を行った。その結果、いくつかの反応基質において目的とする分子間カップリング生成物が得られることがわかった。また、分子内に求電子部位を有するカルバモイルボランの合成とこれを用いた分子内反応を検討した。その結果、目的の生成物であるラクタムが収率は低いものの得られることがわかった。また、カルバモイルボランの安定性を向上させる目的でホウ素上の置換基検討を行った。ホウ素上の置換基の異なる数種類のカルバモイルボランを合成したが安定性の劇的な向上には至らなかった。一方で、新しいカルベン錯体の生成法としてアルキンと遷移金属錯体を利用した反応を検討することとした。本年度は目的の反応の原料合成の検討を主に行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の検討により、新しいカルベン前駆体であるカルバモイルボランに関する基礎的な知見が集まってきた。アルデヒド以外にもいくつか分子間で反応を起こす化合物が見つかっており、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

まず、引き続きカルバモイルボランを利用した反応開発を精力的に行っていく。具体的には、今年度見出した反応について条件の最適化を行うとともに、遷移金属触媒を使った新たな分子変換の探索を行う。また、カルバモイルボランの安定性の向上についても引き続き検討を行う。一方、新たなカルベン前駆体の創成については、今年度合成した基質を用いて反応の検討を精力的に行うとともに、異なるアプローチの検討も行っていく計画である。

次年度使用額が生じた理由

今年度はカルバモイルボランからのカルベン生成を利用した反応開発が主な研究内容となり、既に研究代表者のグループが合成した化合物を研究に利用することができた。そのため各種薬品等消耗品類の購入に当初計画とのズレが生じた。次年度は、生じた次年度使用額と次年度の助成金を合わせ、引き続きカルバモイルボランを利用した反応開発と新しいカルベン前駆体の創成に向けた検討をより精力的に行う計画である。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of Dithioacetals through Iodine-Promoted Insertion Reactions of Vinylsilane to Disulfides and its Application to Diselenoacetalization2023

    • 著者名/発表者名
      Sakai Norio、Fukuda Kurumi、Ogiwara Yohei、Ishida Kento
    • 雑誌名

      Synthesis

      巻: ー ページ: ー

    • DOI

      10.1055/a-2014-3203

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photoinduced Intramolecular Cyclization of Acylsilanes Bearing a Boronate Moiety: Construction of a Highly Strained <i>trans-</i>Fused Bicyclo[3.3.0]octane Skeleton2022

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi Kohei、Shimizu Tsukasa、Miura Arihito、Ishida Kento、Kusama Hiroyuki
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: 24 ページ: 5807~5811

    • DOI

      10.1021/acs.orglett.2c02337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phosphine‐Catalyzed Acyl‐Group Exchange Reaction of Carboxylic Acids and an Aroyl Fluoride2022

    • 著者名/発表者名
      Hattori Hiroyuki、Ishida Kento、Ogiwara Yohei、Sakai Norio
    • 雑誌名

      European Journal of Organic Chemistry

      巻: 2022 ページ: ー

    • DOI

      10.1002/ejoc.202201118

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Disilathiane as a Sulfur Source for the Construction of Isothiochromenes and Benzo[b]thiophenes by Copper-Catalyzed endo-Selective Hydrothiolation2022

    • 著者名/発表者名
      Sakai Norio、Nakajima Takumi、Takeuchi Ryuki、Oomori Keita、Ishida Kento、Ogiwara Yohei
    • 雑誌名

      Synthesis

      巻: 55 ページ: 779~785

    • DOI

      10.1055/a-1953-4534

    • 査読あり
  • [学会発表] コバルト触媒を用いた[4 + 2]付加環化反応による1,3-ジエンと1,6-ジインからの1,3-ジアリールプロパン合成手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      水澤 就、石田 健人、荻原 陽平、坂井 教郎
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] ジスルフィドとノルボルネンを用いた炭素―硫黄結合形成反応の開発2023

    • 著者名/発表者名
      池田 怜央、石田 健人、荻原 陽平、坂井 教郎
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] 光化学的に発生させたシロキシカルベン種を利用したボラサイクルからカルボサイクルへの変換手法2023

    • 著者名/発表者名
      松岡 優、斉藤 瑛莉子、山口 航平、石田 健人、増田 涼介、草間 博之
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] Development of synthetic methodologies by utilizing isomerization of acyl metalloids to oxycarbene species2022

    • 著者名/発表者名
      Kento Ishida
    • 学会等名
      International Congress on Pure & Applied Chemistry Kota Kinabalu
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 光励起による(o -カルボニルベンゾイル) シランからの1,3-ジオキシイソベンゾフランの 生成とその反応-1,4-ジヒドロキシナフタレン誘導体の新規合成手法-2022

    • 著者名/発表者名
      石田健人、阿出川 穂、佐藤純平、清水司、草間博之
    • 学会等名
      第82回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] 光と銅塩の協働作用によるアシルシランとア ルキンとの分子間カップリング反応2022

    • 著者名/発表者名
      山口航平、石田健 人、草間博之
    • 学会等名
      第82回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] A Mechanistic Study on the Pd(OAc)2/PCy3-Catalyzed Reduction of Acyl Fluorides2022

    • 著者名/発表者名
      服部寛之、石田健人、荻原陽平、坂井教郎
    • 学会等名
      第68回 有機金属化学討論会
  • [学会発表] 1,6-ジインと単体硫黄を用いた Fe 触媒によるチオフェン合成法2022

    • 著者名/発表者名
      印南朱里蘭・荻原陽平・石田健人・坂井教郎
    • 学会等名
      第51回複素環化学討論会
  • [学会発表] アルキンの求電子的活性化を利用した 2-アミノベンゾニトリルと単純な末端アルキンからの 4-アミノキノリン 誘導体の合成法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      石井美緒・石田健人・荻原陽平・坂井教郎
    • 学会等名
      第51回複素環化学討論会
  • [学会発表] ジシラチアンと銅触媒を用いる含硫黄複素環化合物の合成法2022

    • 著者名/発表者名
      竹内隆貴・中島拓海・大森渓太・荻原陽平・石田健人・坂井教郎
    • 学会等名
      第51回複素環化学討論会
  • [学会発表] ビスシリルイミンとシロキシエンインとの分子間カップリング反応による多置換ピロールの合成2022

    • 著者名/発表者名
      茶谷実里・石山佳樹・増田涼介・石田健人・草間博之
    • 学会等名
      第51回複素環化学討論会
  • [学会発表] ホスフィン触媒によるフッ化アシルとカルボン酸のアシル基交換反応2022

    • 著者名/発表者名
      服部 寛之・石田 健人・荻原 陽平・坂井 教郎
    • 学会等名
      第12回 CSJ化学フェスタ2022
  • [学会発表] フッ化ジルコノセンとパラジウム触媒を用いたβ-ブロモスチレンとアルキンの還元的クロスカップリング反応による立体選択的1,3-ジエン合成2022

    • 著者名/発表者名
      石塚 琴音・石田 健人・荻原 陽平・坂井 教郎
    • 学会等名
      第12回 CSJ化学フェスタ2022
  • [学会発表] ジスルフィドとノルボルネンからの新規含硫黄環状化合物の合成法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      池田 怜央・石田 健人・荻原 陽平・坂井 教郎
    • 学会等名
      第12回 CSJ化学フェスタ2022
  • [学会発表] 光とパラジウム触媒の協同作用によるアシルシランとクロチルアルコール誘導体との辻-Trost型反応2022

    • 著者名/発表者名
      加藤裕治郎、藤倉悠太、山口航平、石田健人、草間博之
    • 学会等名
      第38回有機合成化学セミナー
  • [学会発表] ホスフィン触媒によるカルボン酸とフッ化アシルのアシル基交換反応2022

    • 著者名/発表者名
      服部寛之,石田健人,荻原陽平,坂井教郎
    • 学会等名
      第45回フッ素化学討論会
  • [学会発表] コバルト触媒を用いた 1,3-ジエンと 1,6-ジインからの 1,3-ジアリールプロパン合成手法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      水澤 就 、石田 健人 、荻原 陽平 、坂井 教郎
    • 学会等名
      第 53 回 中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [学会発表] ホスフィン触媒を用いたフッ化アシルとカルボン酸のアシル基交換反応2022

    • 著者名/発表者名
      服部寛之、石田健人、荻原陽平、坂井教郎
    • 学会等名
      第83回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] アルキンの求電子的活性化を利用した 2-アミノベンゾニトリルと単純なアルキンからの 4-アミノキノリン誘導体の合成法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      石井美緒、石田健人、荻原陽平、坂井教郎
    • 学会等名
      第83回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] フッ化ジルコノセンとパラジウム触媒を利用した還元的クロスカップリング反応による立体選択的な 1,3-ジエン類の合成2022

    • 著者名/発表者名
      石塚琴音、石田健人、荻原陽平、坂井教郎
    • 学会等名
      第83回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] 単体セレンとアルミニウム触媒を用いたラクトンからの環状セレノエステルの合成2022

    • 著者名/発表者名
      木野 泰、石田健人、荻原陽平、坂井教郎
    • 学会等名
      第83回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] 光とパラジウム触媒の協同作用によるアシルシランとクロチルアルコール誘導体とのカッ プリング反応 : 位置選択性について2022

    • 著者名/発表者名
      加藤裕治郎、藤倉悠太、山口航平、増田涼介、石田健人、草間博之
    • 学会等名
      第83回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] 光誘起電子移動反応を利用したビスシリルイミンと共役エンインとの分子間カップリング反応2022

    • 著者名/発表者名
      茶谷実里、石山佳樹、石田健人、増田涼介、草間博之
    • 学会等名
      第83回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
  • [学会発表] トリシクロヘキシルホスフィン触媒によるカルボン酸とフッ化アシル のアシル基交換反応2022

    • 著者名/発表者名
      服部寛之・石田健人・荻原陽平・坂井教郎
    • 学会等名
      第49回有機典型元素化学討論会

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公開日: 2023-12-25  

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