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2023 年度 実施状況報告書

ビニルケテンイミン-鉄錯体を用いる新しい反応の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22K05118
研究機関九州工業大学

研究代表者

岡内 辰夫  九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60274552)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードビニルケテンイミン鉄錯体 / ビニルケテン鉄錯体 / ベンゾキノン
研究実績の概要

本年度から,ビニルケテンイミン鉄錯体の合成に必要不可欠な鉄ペンタカルボニルの入手が不可能となった。そのため,急遽計画を変更し,鉄ペンタカルボニルを用いないジエン鉄錯体の合成についての検討を行った。現在比較的容易に入手できる鉄カルボニル錯体は,ノナカルボニル二鉄がある。そこで,ノナカルボニル二鉄を用いるジエン鉄錯体の合成についての検討を行った。その結果,エーテル溶媒中でノナカルボニル二鉄とジエンを加熱することで,鉄錯体が得られることはわかったが,ドデカカルボニル三鉄の副生が認められ,分離が困難であった。そこで,種々反応条件の検討を行ったところ,ベンザルアセトンを配位子として添加すると,その副生が抑えられ,比較的良好な収率で,目的とするジエン鉄錯体の合成が行えることがわかった。
次に,ノナカルボニル二鉄を用いることで合成したビニルケテンイミン鉄錯体と,ベンゾキノン類の反応について,昨年度に引き続き検討した。その結果,一部の化合物の結晶化に成功し,単結晶X線構造解析によって,その構造を明らかにすることができた。これは,当初想定していたビニルケテンイミン鉄錯体と電子不足アルキンとの反応の形式と全く異なり,ベベンゾキノンのカルボニル炭素に対して,ビニルケテンイミン鉄錯体の配位炭素が求核攻撃することで反応が起こっていることがわかった。
また,同様の反応は,ビニルケテンイミン鉄錯体のみならず,ビニルケテン鉄錯体を用いた場合にも進行することを見出した。
この結果は,日本化学会春季年会において発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず初めに,鉄ペンタカルボニルが入手不可能となったことから,一時期研究の遂行が不可能になる可能性もあったが,ノナカルボニル二鉄を用いる新たなジエン鉄錯体の合成法を確立できたこと。また,当初の目的の一つであったビニルケテンイミン鉄錯体に対する反応剤としてのベンゾキノンとの反応生成物の構造を決定することができた。その反応形式がわかったことにより,今後の反応機構解明につながると考えこの評価とした。

今後の研究の推進方策

ビニルケテンイミン鉄錯体とベンゾキノンが反応の反応機構についての検討を行う。
また,ベンゾキノン以外の求電子剤の探索をおこなう。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] Diazo-Transfer Reaction of Nonactivated Ketones with 2-Azido-1,3-bis(2,6-diisopropylphenyl)imidazolium Hexafluorophosphate (IPrAP)2023

    • 著者名/発表者名
      Mitsuru KitamuraKazuki Ohtsuka, Takashi Eto, Masato Tsusaki, Wada, Mayuko Wada, Hirokazu Shimaoka, Tatsuo Okauchi
    • 雑誌名

      The Journal of Organic Chemistry

      巻: 88 ページ: 15494-15500

    • DOI

      10.1021/acs.joc.3c01743

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of an Ortho-Functionalized Tetrafluorinated Azobenzene Phosphoramidite for Incorporation into a Tetrafluorinated Azobenzene-Containing siRNA for Photocontrolled Gene Silencing2023

    • 著者名/発表者名
      Matthew L. Hammill, Kouta Tsubaki, Mitsuru Kitamura, Tatsuo Okauchi, Jean-Paul Desaulniers
    • 雑誌名

      Current Protocols

      巻: 3 ページ: e874

    • DOI

      10.1002/cpz1.874

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Formal synthesis of isoquinocyclinone using ortho-alkoxycarbonylmethylation of anthranol via diazoquinone2023

    • 著者名/発表者名
      Mitsuru Kitamura, Noriyuki Fukuzumi, Masayuki Shinagawa, Keiichiro Araki, Yutaro Shimizu, Shuhei Takahashi, Takumi Iwata, Hirokazu Shimooka, Tatsuo Okauchi
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 125 ページ: 154618

    • DOI

      10.1016/j.tetlet.2023.154618

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of Dinucleotide Non-Symmetrical Triester Phosphate Phosphoramidites and Their Incorporation Within Oligonucleotides2023

    • 著者名/発表者名
      Jean-Paul Desaulniers, Kouta Tsubaki, Matthew L. Hammill, Mitsuru Kitamura, Tatsuo Okauchi
    • 雑誌名

      Current Protocols

      巻: 3 ページ: e784

    • DOI

      10.1002/cpz1.784

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ビニルケテンイミン鉄錯体を用いた新規反応の開発2024

    • 著者名/発表者名
      酒井 陽平, 岡内 辰夫, 北村 充
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会
  • [学会発表] コシノスタチンアグリコンの合成研究:CD環の不斉合成の検討2024

    • 著者名/発表者名
      柴田 匠翔, 岩田 拓実, 下岡 弘和, 岡内 辰夫, 北村 充
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会
  • [学会発表] Teadenolの合成を目指したPd触媒を用いたビニルエポキシドのフェノールとの分子内環化反応の開発2024

    • 著者名/発表者名
      門倉 祐介, 島津 貴大, 下岡 弘和, 岡内 辰夫, 北村 充
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会
  • [学会発表] アジドイミダゾリニウムを用いるアルキニル共役トリアゼンの合成と反応2024

    • 著者名/発表者名
      和田 麻友子, 津﨑 諒人, 浅野 宏成, 下岡 弘和, 岡内 辰夫, 北村 充
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会
  • [学会発表] ペロブスカイト型構造を有する柔粘性イオン結晶の合成と物性評価2024

    • 著者名/発表者名
      三根 裕朗, 下岡 弘和, 岡内 辰夫, 北村 充
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会
  • [学会発表] 含フッ素活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤の合成2023

    • 著者名/発表者名
      青木愛結菜, 日下遼河, 吉田嘉晃, 下岡弘和, 北村充, 岡内辰夫
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] シクロプロパン含有リン脂質の合成2023

    • 著者名/発表者名
      松永美優, 高木菜央, 日隈友梨, 下岡弘和, 北村充, 岡内辰夫
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] ビニルケテンイミン鉄錯体を用いた新規反応の開発2023

    • 著者名/発表者名
      酒井陽平, 市村太雅, 下岡弘和, 北村充, 岡内辰夫
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] エステル交換反応を用いた含硫黄リン酸エステルの合成2023

    • 著者名/発表者名
      友森優太, 高木菜央, 下岡弘和, 北村充, 岡内辰夫
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] Teadenolの合成研究:Pd触媒を用いたビニルエポキシドのフェノールとの分子内環化2023

    • 著者名/発表者名
      門倉祐介, 島津貴大, 下岡弘和, 岡内辰夫, 北村充
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] ABX3型有機-無機ペロブスカイト単結晶の作製2023

    • 著者名/発表者名
      三根裕朗, 岡内辰夫, 下岡弘和, 北村充
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] コシノスタチンアグリコンの合成研究ーD環部の不斉合成の検討2023

    • 著者名/発表者名
      柴田匠翔, 岩田拓実, 下岡弘和, 岡内辰夫, 北村充
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] アジドイミダゾリウム塩を用いた共役トリアゼン化合物の合成2023

    • 著者名/発表者名
      和田麻友子, 津﨑諒人, 下岡弘和, 岡内辰夫, 北村充
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会

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公開日: 2024-12-25  

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