研究課題/領域番号 |
22K05136
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
金井塚 勝彦 山形大学, 理学部, 教授 (50457438)
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研究分担者 |
崎山 博史 山形大学, 理学部, 教授 (20253396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 近赤外 / ナノ界面 / 酸化物ナノ粒子 / プラズモン |
研究実績の概要 |
光を電子の流れに変換するデバイスには,光電変換素子や撮像素子が知られているが,その微細化・高効率化は化学のボトムアップにおいて重要な課題である。このような光分子素子においては,“可視光”と機能性分子の相互作用に関する研究がほとんどであり,近赤外光を有効利用する光機能界面の構築技術確立は未開拓となっている。 本研究の目的は,紫外・可視・近赤外から開発の進んでいない「近赤外」に焦点を当て,プラズモンを示す酸化物の配列体を構築し,その光機能を探索することである。 今年度はインジウムとスズからなるITOナノ粒子の合成を検討した。具体的には、塩化インジウムおよび塩化スズのメタノール溶液に,4級アンモニウム塩を保護剤として添加した混合液を,オートクレーブ中で加熱することでITOナノ粒子を合成した。合成したITOナノ粒子について電子顕微鏡による評価から,一辺が35 nmのキュービックであることがわかった。また,粒子の分散溶液の電子スペクトルにおいて,800nmから低エネルギー側で吸収が確認され,近赤外領域のエネルギーを有効利用できる化合物であることがわかった。塩化インジウムと塩化スズの混合比率を変えると,同じようにITOナノ粒子が合成できるが,吸収波長が異なることがわかった。また,合成したITOナノ粒子について水素を含むガス中で加熱すると吸収波長が変化することもわかった。これはITOナノ粒子のキャリア密度が変化するためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載の年度計画どおりに研究を実施し,予想した成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は「酸化物ナノ粒子の界面密度制御とその近赤外光機能探索」である。これまでに本研究課題で酸化物ナノ粒子の合成とその分散溶液挙動の評価を行った。今後は,酸化物ナノ粒子をガラス上に固定し,その電子スペクトルを観察する。特に,酸化物ナノ粒子の密度を変化させたときの近赤外領域の吸収の変化に注目しながら研究を進める。
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