研究課題/領域番号 |
22K05137
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
藤城 貴史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20740450)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HCP / 鉄-硫黄クラスター / 鉄-硫黄-酸素クラスター / X線結晶構造解析 / 反応中間体 / 触媒機構 / 還元 |
研究実績の概要 |
2022年度では、HCPの触媒機構解明に必要不可欠となる、高分解能X線結晶構造を与えるHCPの探索を行った。様々な嫌気性微生物由来のHCPを、His-tagを持つ大腸菌組換え酵素として発現するためのプラスミドをそれぞれ構築し、嫌気的に発現、精製、結晶化を行った。その結果、異なる3種の微生物由来のHCPの結晶が得られた。放射光施設Photon factory、Swiss Light Source、SPring-8などでそれらのX線結晶回折データを収集し、XDSによるデータ処理、Molrepを用いた分子置換法による位相決定とCootによる構造モデリング、Refmac5による構造精密化を行なった。構造決定したHCPのうち、ある1つの微生物種由来のHCPが、その活性部位の特徴的な無機クラスターの原子座標、ならびに、その構成元素の種類を判別可能な高分解能で構造決定された。この構造では、活性部位のhybrid clusterが、以前に報告された[4Fe-2S-3O]型の休止状態のクラスターであること、そして、その配位子となるアミノ酸が同じ位置に高度に保存されていることが明らかとなった。また、配位子の1つのシステインは、システインペルスルフィドの形をとっており、これも以前のHCPの休止状態の結晶構造での報告例と一致した。これまでの報告例にあるHCPは全て本来の宿主由来のnativeタンパク質、または同種生物由来組み換え体発現系を用いているが、今回の実験で、異種生物由来のHCPを大腸菌で大量に得る系を確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の要となる高分解能X線結晶構造を与えるHCPの探索に成功した。よって、構造解析の結果に基づく中間体捕捉のための実験系の検討が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらなる高分解能を狙う条件の最適化を進めるとともに、その結晶に基質や生成物を加えた状態の構造解析を進める。具体的には、結晶化に用いた沈殿剤の種類や組成、結晶化時のタンパク質濃度や温度、プレートの種類などを検討し、より高分解能を与える良質な結晶作成を目指す。さらに基質や生成物を短時間結晶にソーキングして中間体構造を与える結晶を作成する系の構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の2022年度の計画では、今年度の要となる実験である10000条件程度の結晶化条件のスクリーニングに際して、様々な条件を試すための試薬類(キット)を一括購入する予定であったが、最初期のスクリーニングの500条件で良質な結晶が得られたため、実験予定を繰り上げ、2023年度の計画を一部スタートさせた。よって、次年度使用額が生じ、この予算は、2023年度の反応中間体捕捉のための結晶内酵素反応を行う実験系の構築に用いる予定である。
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