研究課題/領域番号 |
22K05142
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大坪 主弥 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 准教授 (90601005)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナノチューブ / プロトン伝導 / 電子伝導 / 水クラスター / 薄膜材料 |
研究実績の概要 |
近年、ボトムアップ合成を基盤とした金属-有機ナノチューブ(MONTs)の合成に成功した。このMONTsにおいては、疎水性内空間に捕捉された水分子がバルク状態とは異なる特異なクラスター構造を形成し、高プロトン伝導性を示すことなどを明らかにした。本研究課題においてはこのようなMONTを基盤材料として、水分子クラスターの構造制御、新奇なガスハイドレート構造の構築と物性開拓、そしてゲスト包接やドーピング、そして新規材料合成による多彩な電子伝導性(金属伝導・超伝導)の発現等を目的とする。 前年度までに界面活性剤アニオンを対アニオンとして用いたMONTについて、高分解能透過型電子微鏡(HRTEM)観察から特異な結晶性のバンドル構造を観測することに成功しており、この結果は、電子顕微鏡観察で明確なバンドル構造が直接観測されたMONTの世界初の例であり、2023年度にJACS誌に報告した。二年度となる2023年度ではこれまでに得られた種々のMONTsに対するゲスト包接や電子/ホールドーピングについての可能性を探るとともに新規のMONTs系の合成も引き続き取り組んだ。いくつかの有機ゲスト分子に関しては明確な分子包接挙動が見られたものの、酸化還元活性な分子を用いた場合には結晶構造が崩壊しナノチューブ構造を保持できないケースが多かった。今後はより詳細なゲスト包接条件の検討と、穏やかな条件での化学ドーピングが可能かについて検討していく予定である。また、いくつかの新規MONTsの合成に成功しており、現在詳細な結晶構造解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
MONTsに対する電子/ホールドーピングについては達成できていないものの、いくつかの有機分子を用いて明確なゲスト分子包接を見出すことに成功し、また、数種類の新規MONTsの合成に成功している。以上のことから計画以上の進展があったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(2024年度)も、当初の研究計画に沿って研究を推進する。
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