研究実績の概要 |
現在、マイクロプラスチックによる環境汚染は、そのもの自体はもちろん、それに付着する金属汚染として、日本のみならず国際的にも重要な環境問題である。プラスチックには、その製造工程の中で様々な添加剤が使用されており、過去には人体に有害な金属元素が使用されていたこともあった。このため、マイクロプラスチックによる金属元素や有害元素の環境負荷を見積もる上でも、マイクロプラスチック中の微量金属元素の定量は重要である。 本研究では、蛍光X線分析法を用いたマイクロプラスチック中微量金属の高精度定量分析手法を確立し、本邦都市域河川~海岸域におけるマイクロプラスチック及びマイクロプラスチックに伴う金属汚染状況の把握を目指す。 蛍光X線分析は、試料に含まれる微量金属元素を非破壊で、迅速・簡便に分析可能であるが、実際のマイクロプラスチック試料は、その形状が一様ではないため、精密な定量が困難である。このため本研究では、試料形状 (厚さ及び試料サイズ) の異なるプラスチック試料における補正方法を検討し、厚さ及び試料直径の補正関数を算出し、この補正関数を用いることで、厚さ 0.5 mm,試料直径 2 mm までのマイクロプラスチックであれば、良好な補正を行うことができた。また、本補正法を 2種類のプラスチック認証標準物質 (ERM-EC680m, ERM-EC681m, ポリエチレン) に適用し、認証元素5 元素 (Cr, Zn, Sb, Pb, Br) の定量を行った結果、各元素の定量値は、認証値に近い値を示した。
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