研究実績の概要 |
可搬型の蛍光X線分析装置を用いた実験では、試料厚さや形状の異なるマイクロプラスチック中の微量金属元素の定量のための標準物質の作製および補正方法を検討した。その結果、試料直径が2mm 以上のマイクロプラスチックであれば、試料の形状を問わず、正確な微量金属元素の定量が可能な補正方法を確立した。さらに、試料マトリックスの異なるポリマーであっても、ポリ塩化ビニル樹脂以外のポリマーであれば、マトリックス補正を行うことなく、正確な定量が可能であることを確認した。 この補正方法を用いて、実際のマイクロプラスチックの定量を行った結果、採取した96試料中50試料から、測定対象元素であるCr,Fe,Co,Cu,Zn,Sb,Pb,Brが検出された。また、RoHS指令の規制対象元素である Cr,Pb,Brでは、100mg/kgを超過した試料も複数確認され、Pbでは1000mg/kgを超過した試料も確認された。 さらに、X線透過法を応用したポリマー種の判別方法の手法開発を行い、ポリエチレンや ABS樹脂、ポリエステル樹脂等の、主成分組成の実効原子番号が近いポリマーであっても、判別可能であることを示した。 これらの研究成果は、第58回X線分析討論会(2022)、第59回X線分析討論会(2023)、日本分析化学会第72年会(2023) において、3件の学会発表を行い、日本分析化学会第72年会では、若手ポスター賞 (大阿蘇若手ポスター賞) を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、試料厚さや形状の異なるマイクロプラスチック中の微量金属元素の定量のための標準物質の作製および補正方法を検討した。その結果、試料直径が2mm 以上のマイクロプラスチックであれば、試料の形状を問わず、正確な微量金属元素の定量が可能な補正方法を確立した。さらに、試料マトリックスの異なるポリマーであっても、ポリ塩化ビニル樹脂以外のポリマーであれば、マトリックス補正を行うことなく、正確な定量が可能であることを確認した。この補正方法を用いて、実際のマイクロプラスチックの定量を行った結果、採取した96試料中50試料から、測定対象元素であるCr,Fe,Co,Cu,Zn,Sb,Pb,Brが検出された。また、RoHS指令の規制対象元素である Cr,Pb,Brでは100mg/kgを超過した試料も複数確認され、Pbでは1000mg/kgを超過した試料も確認された。 また、X線透過法を応用したポリマー種の判別方法の手法開発を行い、ポリエチレンや ABS樹脂、ポリエステル樹脂等の、主成分組成の実効原子番号が近いポリマーであっても、判別可能であることを示した。
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