これまで報告されているキラル誘導体化法は,いずれもエナンチオマー分離能を追求するものがほとんどであり,夾雑成分との分離に着目したものは存在しない.しかし,生体試料を対象としたエナンチオマー分析において通常の分析法と同様に試料中に含まれる多種多様な夾雑物による妨害を受けることからそれらを除去する別の工程が必須となる. そこで本研究では,夾雑成分との分離に重きを置いた「フルオラス誘導体化LC法」をジアステレオマー化法へ組み合わせることで,煩雑な夾雑物除去工程を必要としないキラル誘導体化法を開発した. R4年度:エナンチオマー分離に最適なフルオラス部位の探索 先行研究では,フルオラス部位としてC7F15を用いたがこの炭素数フッ素数を変化させることでエナンチオマー分離に影響を及ぼすと考えている.そのため初年度では,フルオラス部位を変化させた試薬を合成し,エナンチオマー分離に最適な炭素数フッ素数のフルオラス部位を探索する.また,生体試料分析を念頭に置き,夾雑成分との分離の評価を行いながら探索を行う.
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