研究実績の概要 |
本研究は、高圧・高温の水熱反応器内の成分をその場でリアルタイムのエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)に適した高圧ESIイオン源及び関連インターフェースを開発し、新しい分析技術として確立することを目的とする。そのため,今年度では,保有している高分解能電場型フーリエ変換質量分析計を改良して,本研究の実験に専用する計画があった。しかし、その質量分析装置が故障になったため,前倒し支払を請求し、質量分析装置の修理を行なった。修理した質量分析計の性能を評価するため、高圧nanoESI源を用いて、導電率の高い水溶媒サンプルの測定を行った。エレクトロスプレーの安定性を確認するため、スプレー電流の測定と顕微鏡画像を同時に収集できる自動制御コンピューターシステムを構築した。高圧イオン源で生成したイオンを高い効率に質量分析に導入できるよう、専用のイオン導入チューブを数種類(内径:0.1, 0.25, 0.5, 0.6 mm)作製した。イオン透過率の評価実験を行い、0.25 mm と0.5 mm のイオン導入チューブが最適であることが分かった。そして、高精度な電圧制御によって、エレクトロスプレーの流量をナノL/minレベルまでコントロールでき、生成した帯電液滴のサイズとイオン化の関係も質量分析結果で明らかにした。
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