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2022 年度 実施状況報告書

油水界面のリン脂質単分子膜:構造の定量分析と生体膜の物理学

研究課題

研究課題/領域番号 22K05179
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

片岡 知歩 (浜井知歩)  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (70443009)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードリン脂質膜 / 油 / 中性脂質
研究実績の概要

本研究課題で明らかにしたい問いの一つは、油水界面に形成されたリン脂質単分子膜への油の侵入度合いである。そこで、ホスファチジルコリン単分子膜と炭化水素との相互作用を研究した。炭化水素には直鎖アルカンおよび芳香族炭化水素を用いた。そして界面張力のデータから、炭化水素の種類に応じて脂質―炭化水素間の相互作用の強さが大きく変化することを明らかにした。また、アシル基の構造が異なる二種類のホスファチジルコリンを用いて実験を行った。その結果、どちらのリン脂質も炭化水素と同じような強さで相互作用することが明らかとなった。
本研究課題で理解したいもう一つの問いは、脂肪滴界面でのリン脂質と中性脂質との相互作用である。そこで蛍光顕微鏡を用いて、リン脂質二分子膜と中性脂質との相互作用を研究した。脂肪滴界面はリン脂質単分子膜で覆われている。この構造はリン脂質二分子膜から発生することが知られているが、発生メカニズムの詳細は未解明である。従って、脂肪滴発生のメカニズムを、物理化学的観点から研究することは大変重要である。本研究では、脂肪滴形成初期に起こると考えられている現象をモデル膜上で再現することに成功した。このモデル実験系を用いて、脂肪滴形成に伴うリン脂質二分子膜の時間変化を捉え、さらに、多数の脂肪滴モデルを計測することによって、統計的データを取得することができた。この実験系を用いると、数百から数千個のモデル脂肪滴を同時に測定することができるので、モデル脂肪滴の統計的解析が可能になると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では、リン脂質単分子膜と中性脂質との相互作用を研究する予定でいたが、リン脂質二分子膜と中性脂質が非常に興味深いメカニズムで相互作用することを偶然発見した。当初は予測していなかった現象を観測することができたので、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

リン脂質膜と中性脂質との相互作用の研究を推進する。当該年度は2種類の中性脂質を用いて実験を行ったので、中性脂質の種類をより変化させて研究を行う。また、リン脂質と中性脂質との相互作用を調べるためのモデル実験系の開発を行う。

次年度使用額が生じた理由

既存の試薬を用いて実験を行うことができたため、次年度使用額が生じた。今後、実験に必要な試薬等の消耗品に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 炭化水素-水界面に形成したリン脂質単分子膜への炭化水素の侵入2022

    • 著者名/発表者名
      片岡 知歩、川上 亘作
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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