研究課題/領域番号 |
22K05180
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
原賀 智子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 バックエンド技術部, マネージャー (80715227)
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研究分担者 |
齋藤 伸吾 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60343018)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | キャピラリー電気泳動法 / ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 / アクチノイドイオン / 放射性ストロンチウムイオン / 高感度検出-精密分離回収 / 簡易・迅速スクリーニング分析 / 蛍光プローブ / 化学ライブラリー |
研究実績の概要 |
本研究は、放射性試料中のアクチノイド(An)に対する安全な分析法を構築するため、キャピラリー電気泳動法(CE)やポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)などの電気泳動分離場に着目し、Anに対する簡易・迅速スクリーニング分析法の確立を目指すものである。そこで、本法に必要なCEやPAGEで機能する蛍光プローブを開発するため、これまでになかったNpイオン(NpO2+/2+)と解離不活性な錯体を形成する配位骨格を探索し、Npイオン用蛍光プローブを開発するとともに、これまで困難であったAm3+、Cm3+の完全分離を実現するための精密分離技術の開発を目指している。 令和4年度は、Npイオン用蛍光プローブを開発するため、金属イオン結合部位の化学ライブラリー(4座非環状型、6~8座非環状・大環状型のポリアミノカルボン酸骨格)を用いて、配位骨格の探索を行った。その結果、Npイオンに対して、4座非環状型のポリアミノカルボン酸骨格が適していることを明らかにし、PAGEで機能するNpイオン用蛍光プローブの開発に成功した。また、Am3+、Cm3+の精密分離技術を開発するため、CE及びPAGEで機能するAm3+、Cm3+用蛍光プローブを開発した。得られた成果は、とりまとめて投稿論文として公表した。 令和5年度は、放射性核種に対する完全分離を実現するための精密分離技術を開発するため、前年度までに得られた知見をもとに、放射性ストロンチウム(Sr)を対象として、検出用プローブの開発を進め、放射性廃液中の放射性Srの精密分離に成功した。得られた成果を、とりまとめて投稿論文として公表した。今後も放射性試料の分析へ適用するための試験を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、放射性核種に対する完全分離を実現するための精密分離技術を開発するため、これまでに得られた知見をもとに、放射性Srを対象として、8座非環状型のポリアミノカルボン酸骨格を有するSrイオン検出用プローブの開発を進め、放射性廃液中の放射性Srの精密分離に成功した。得られた成果は、とりまとめて投稿論文として公表しており、現在、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、放射性核種に対する精密分離技術の開発を開発するため、これまでに整備した金属イオン結合部位の化学ライブラリー(4座非環状型、6~8座非環状・大環状型のポリアミノカルボン酸骨格)を用いて、配位骨格の探索を行い、プローブ開発を進めるともに、放射性試料の分析へ適用するための試験を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、研究打ち合わせをオンラインで実施したことにより、旅費等の支出が予定よりも少なかったことが挙げられる。今後、放射性試料を用いた試験に必要な試薬類、器具類を購入するための物品費(消耗品費)に使用するとともに、得られた成果を公表するための論文投稿料などに使用することを計画している。
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