研究課題/領域番号 |
22K05190
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
岡島 いづみ 静岡大学, 工学部, 准教授 (40436910)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 漁網素材 / ナイロン6 / 水熱処理 / モノマー化 |
研究実績の概要 |
海洋プラスチックごみの一因である漁網のケミカルリサイクル技術の確立を目指した、漁網素材プラスチックの分解の解明を目的とし、令和4年度は漁網素材の一つであるナイロン6 に焦点を当てて、2つの項目について研究を行った。研究項目[1](漁網素材の分解・モノマー化のための触媒探索)では、今年度は水溶性酸触媒としてリン酸、水溶性塩基触媒として水酸化ナトリウムを取り上げて反応を行った。リン酸を添加した場合、ナイロン6の分解率(={1―(水熱処理後の水に不溶な固体残渣[g]/ナイロン6仕込み量[g])}×100)は、反応初期ではリン酸添加の系の方が無触媒条件に比べて分解率が10%程度高いものの、280℃では反応時間60分、300℃では30分以降で無触媒条件の方が分解率は高くなり、モノマーであるε-カプロラクタム収率もナイロン6分解率と同じ傾向を示した。一方で、ε-アミノカプロン酸収率はどの反応時間においてもリン酸を添加した系の方が高くなることが確認できた。水酸化ナトリウムを添加した場合、280℃と300℃ともに無触媒に比べて分解率は高くなったが、リン酸添加とは異なり、無触媒条件と比べてε-アミノカプロン酸収率が大幅に増加し、ε-カプロラクタム収率は減少した。更に酸化チタン、酸化ジルコニウム等の固体触媒についても検討を行い、触媒効果の違いについて確認することができた。研究項目[2](反応相が漁網素材の分解・モノマー化に与える影響の解明)について、反応温度300℃において、反応圧力が3MPaの過熱水蒸気雰囲気では反応時間60~240分では、ナイロン6分解率は約18%を推移した。これは飽和水蒸気圧である8.6MPaの亜臨界水雰囲気での同じ反応時間範囲における分解率56~100%に比べて大幅に低下したことから、ナイロン6の分解・モノマー化において水の役割が大きいことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目[1](漁網素材の分解・モノマー化のための触媒探索)では、当初予定していた触媒に関して大部分を検討することができ、また研究項目[2](反応相が漁網素材の分解・モノマー化に与える影響の解明)では、ナイロン6分解の反応相の影響検討についておおよそ予定通りに遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、ナイロン6の加水分解について、令和4年度に対応できなかった、候補として挙げていた数種類の触媒を用いた検討、及びナイロン6加水分解反応速度解析を実施する。また漁網素材の一つであるポリエチレンテレフタレートの加水分解における触媒効果と反応相の影響の調査を行う予定である。
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