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2022 年度 実施状況報告書

新規HF-固体塩基錯体の合成と反応性評価およびフッ素循環システムへの展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K05197
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

田嶋 稔樹  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50361770)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードHF-塩基錯体 / 有機強塩基 / 固体塩基 / 電解フッ素化
研究実績の概要

フッ化カリウム(KF)と固体酸のカチオン交換反応により定量的に生成したフッ化水素(HF)に対して固体塩基を作用させることで、固体塩基-HF錯体を合成するべく検討を行った。その結果、固体塩基としてポリ(4-ビニルピリジン)(PVP)を用いることで、PVP-HF錯体を合成することに成功した。HFとPVPの反応は10分で平衡に達し、1 gのPVPに対して7 mmolのHFが配位していることが明らかになった。
次に、合成したPVP-HF錯体を用いてトリフェニルメタンの電解フッ素化を行ったところセル電圧が非常に高く、さらに対応するフッ素化体の収率は4%であった。HF錯体は、一般的にイオン液体であることから電解フッ素化においては支持塩兼フッ素化剤として働く。これに対し、固体塩基-HF錯体はHF錯体が固体(樹脂)表面に担持されているため支持塩として十分に作用せず、高いセル電圧を示したと考えられる。そこで、支持塩として過塩素酸テトラエチルアンモニウムを加えて電解フッ素化を行った結果、良好な収率で対応するフッ素化体が得られた。これより、PVP-HF錯体は支持塩を添加することで高いセル電圧を解消し、電解フッ素化に応用できることが示唆された。
有機電解合成に利用した固体担持試薬は、ろ過によって容易に分離でき、繰り返し再利用できることが知られている。そこで、本反応系におけるPVPがHF錯体の合成と電解フッ素化に繰り返し利用可能であるかの確認を行った。同一のPVPを用いてHF錯体の合成とトリフェニルメタンの電解フッ素化を繰り返し5回行ったところ、収率に大きな変化は見られなかった。このことから、PVPはHF錯体の合成および電解フッ素化への繰り返し利用(再利用)が可能であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り固体塩基-HF錯体の合成に成功し、固体塩基-HF錯体の電解フッ素化への応用についても目途が立ったため。

今後の研究の推進方策

固体塩基-HF錯体の電解フッ素化への応用に成功したが、化学的フッ素化への応用についてはまだ検討段階である。均一系の反応に比べて不均一系(固体表面)の反応は反応性が低下することが予想されることから、このことに焦点を当てて検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は8,610円であり、ほとんど計画通りの使用状況である。また、次年度の使用計画としては物品費として本研究の遂行に必要な試薬等の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] KFと固体酸のカチオン交換反応を用いたPVP-HF錯体の合成と電解フッ素化への応用2022

    • 著者名/発表者名
      三宅克典,浅野武蔵,田嶋稔樹
    • 学会等名
      第46回有機電子移動化学討論会
  • [学会発表] HF錯体を用いた脂肪族塩素化合物の求核的フッ素化2022

    • 著者名/発表者名
      三樹魁人,清水省吾,田嶋稔樹
    • 学会等名
      第45回フッ素化学討論会
  • [学会発表] 求核的フッ素化を用いたアミンおよび有機強塩基-HF錯体の反応性評価2022

    • 著者名/発表者名
      五十嵐有生,三宅克典,村岡慶一,田嶋稔樹
    • 学会等名
      第45回フッ素化学討論会
  • [学会発表] 有機塩基や水素結合アクセプターを用いたHF錯体の安定配位数の検討2022

    • 著者名/発表者名
      山田空,森大地,三宅克典,五十嵐有生,湯本拓馬,田嶋稔樹
    • 学会等名
      第45回フッ素化学討論会
  • [学会発表] KFと固体酸のカチオン交換反応に基づくPVP-HF錯体の合成2022

    • 著者名/発表者名
      三宅克典,浅野武蔵,田嶋稔樹
    • 学会等名
      第45回フッ素化学討論会

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公開日: 2023-12-25  

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