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2023 年度 実施状況報告書

新規HF-固体塩基錯体の合成と反応性評価およびフッ素循環システムへの展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K05197
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

田嶋 稔樹  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50361770)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードHF-塩基錯体 / HF-固体塩基錯体 / 有機強塩基
研究実績の概要

フッ化カリウム(KF)と固体酸(Amberlyst 15Dry)のカチオン交換反応により定量的に生成したフッ化水素(HF)に対して、ポリスチレンに担持されたホスファゼン塩基である2-tert-Butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethyl-perhydro-1,3,2-diazaphosphorine on polystyrene(PS-BEMP)を作用させることで、PS-BEMP-nHF錯体の合成を行った。HFとPS-BEMPの反応はわずか10分で平衡に達し、PS-BEMPと反応しなかったHFの量を測定することで、1分子のBEMPに対して3分子のHFが配位したPS-BEMP-3HF錯体が生成していることが明らかになった。
次に、合成したPS-BEMP-3HF錯体の反応性を評価するべく、1-(2-Methanesulfonylethyl)naphthaleneおよび1-(2-Methanesulfonylethyl)naphthaleneの求核的フッ素化(化学的フッ素化)をアセトニトリル中で行った。その結果、何れの基質においても対応するフッ素化体は低収率でしか得られなかった。これらの求核的フッ素化が低収率であった原因として、PS-BEMPがアセトニトリル中で十分に膨潤していなかったことが挙げられる。実際にPS-BEMPの膨潤体積をアセトニトリル中で測定したところ、PS-BEMPはほとんど膨潤しないことが明らかになった。しかしながら、PS-BEMPにHFが配位したPS-BEMP-3HF錯体はアセトニトリル中で大きく膨潤したことから、PS-BEMP-3HF錯体を用いた求核的フッ素化がスムーズに進行しなかった原因は、膨潤が不十分であったためではないことが明らかになった。現在、その他の原因について検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り固体塩基-HF錯体の合成に成功し、固体塩基-HF錯体の求核的フッ素化(化学的フッ素化)への応用には反応性に課題があることが明らかになったものの、電解フッ素化への応用については目途が立っているため。

今後の研究の推進方策

固体塩基-HF錯体の電解フッ素化への応用には成功したが、求核的フッ素化(化学的フッ素化)への応用については問題点が明らかになった。均一系の反応に比べて不均一系(固体表面)の反応は反応性が低下することが予想されることから、今後はこのことに焦点を当てて求核的フッ素化の検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は1,022円であり、ほとんど計画通りの使用状況である。また、次年度の使用計画としては物品費として本研究の遂行に必要な試薬等の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 環境調和を指向した有機電解合成プロセスの開発2024

    • 著者名/発表者名
      田嶋稔樹
    • 学会等名
      電気化学会第91回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 第四級アンモニウムフルオリド-HFIP錯体を用いる電解フッ素化2024

    • 著者名/発表者名
      望月愛華, 本間晴香, 北島庸貴, 田嶋稔樹
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] KFと固体酸のカチオン交換反応に基づくHF生成条件の最適化2023

    • 著者名/発表者名
      本間晴香, 山田真秀, 田嶋稔樹
    • 学会等名
      第46回フッ素化学討論会
  • [学会発表] TBAF-HFIP錯体の合成と電解フッ素化への応用2023

    • 著者名/発表者名
      望月愛華, 本間晴香, 北島庸貴, 田嶋稔樹
    • 学会等名
      第46回フッ素化学討論会

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公開日: 2024-12-25  

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