研究課題/領域番号 |
22K05214
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田中 知成 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (70585695)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水中 / ワンポット合成 / 保護基フリー / 活性エステル / RAFT重合 / 糖鎖高分子 / 糖加水分解酵素 / 糖転移反応 |
研究実績の概要 |
糖鎖高分子の合成は、糖担持モノマーを合成して重合する方法(糖担持モノマー重合法)と、あらかじめ合成した高分子鎖に糖誘導体を付加する方法(重合後修飾法)の2通りに大別されるが、いずれの方法においても、有機合成工程では脱水溶媒中や不活性ガス雰囲気下など厳密な反応条件と熟練した技術が必要となることが多い。また、一般的なラジカル重合では脱酸素条件が求められることも操作が煩雑となる原因の一つであるため、本研究では、糖鎖高分子を合成するまでの全工程を水中、空気雰囲気下(オープンエアー)、保護基を使用することなく(保護基フリー)行い、さらに中間化合物を単離精製する必要の無い(ワンポット)、極めて簡便な糖鎖高分子合成法を開発することを目的とした。 今年度は、糖加水分解酵素による糖転移反応を利用して糖担持モノマーを合成するために、酵素の基質特異性を調査した。特に、N-アセチルグルコサミンの糖オキサゾリン誘導体を基質とした糖加水分解酵素ファミリー84に分類されるBacteroides thetaiotaomicron由来N-アセチルグルコサミン加水分解酵素による糖転移反応において、糖受容体基質の特異性を明らかにした。また、N-アセチルグルコサミンおよびその誘導体を加水分解する同類の酵素についても糖転移反応を検討し、糖転移反応可能であることを確認した。さらには、糖オキサゾリン誘導体を無保護糖から一段階で水中合成した反応溶液を用いて酵素反応を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重合後修飾法による糖鎖高分子の水中ワンポット合成を達成し、さらには、酵素反応での基質特異性が明らかになって来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
糖担持モノマーの重合による糖鎖高分子合成において、糖加水分解酵素による糖転移反応による糖担持モノマー合成の条件を最適化した後、続く重合反応を検討することにより、糖鎖高分子の合成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度繰越分の大部分を繰り越した。次年度に物品費に合わせて使用する予定である。
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