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2022 年度 実施状況報告書

高分子らせん集合体の同調的構造変化を駆動要素とする動的ソフトマテリアルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05233
研究機関龍谷大学

研究代表者

河内 岳大  龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (70447853)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード包接錯体 / らせん / 分子認識 / ゲル / ポリメタクリル酸メチル
研究実績の概要

シンジオタクチック-ポリメタクリル酸メチル(st-PMMA)は、トルエン中でラセン構造を形成することで結晶化し、ゲル化する。このラセン構造はホストとして作用し、フラーレン類などのゲスト分子を包接して結晶性の錯体が得られる。これまでに、ゲストとしてC60とC70が共存した場合、C70が優先的に包接されることを明らかにしている。本年度は、このst-PMMAラセンによるゲスト分子認識について詳細に検討した。
st-PMMAは、トルエン中、TiCl4/Et3Alを開始剤とする立体特異性配位重合により合成した(Mn = 580k, rr = 95%)。C60/C70混合トルエン溶液(6 mL)にst-PMMA(3.0 mg)加え、110℃まで加熱し、均一溶液とした後、25℃で一晩静置し、ゲル化させた。遠心分離後、上澄み液とゲルを分けた。上澄み液と母液をHPLC測定することで、包接されたゲスト分子の量(包接量)及び包接率を求めた。
まず、C60とC70をそれぞれ単独でゲスト分子として用いたところ、同じゲスト濃度では、C70の方が高い包接量を示すことを確認した。フラーレン濃度0.26 mg/mLにおいて、C70の方が3.3倍程度包接され易い。次に、C60とC70の混合物をゲストとしたところ、C60/C70混合モル比50/50の条件では、C60はほとんど包接されず、包接フラーレンの割合はC60/C70 = 0.2/99.8 [mol/mol]と、高い選択性であった。C60を過剰とした母液C60/C70混合モル比89/11においてもC70が選択的に包接された(包接フラーレンの割合 C60/C70 = 0.3/99.7 [mol/mol] )。興味深いことに、C70のみをゲスト分子とした濃度におけるC70包接量は、C60が共存しないC70単独での包接量と一致する値であることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

トルエン中で作製したst-PMMAゲルにはフラーレン類が包接されるが、この包接錯体形成は自発的に起こる。一方、ピレンやフェナントレンもst-PMMAと包接錯体を形成するものの、トルエン中では自発的に形成しない(トルエンの結合定数の方が高い)。次年度以降、トルエン中で自発的に包接錯体を形成する新規ゲスト分子を探索し、st-PMMAラセンのサイズ識別能およびゲストの一次元配列による光学特性変化などについて検討する。

次年度使用額が生じた理由

設備備品の購入を見合わせたため、次年度使用額が生じた。次年度に設備備品の購入を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] st-PMMAらせんによるコロネンの包接と得られる錯体の特性2022

    • 著者名/発表者名
      〇藤社一希・宮本若菜・植野智浩・向井瞳・河内岳大
    • 学会等名
      第71回高分子年次大会
  • [学会発表] st-PMMAらせんによるコロネンの包接と得られる錯体ゲルの光学特性2022

    • 著者名/発表者名
      〇藤社一希・南悠斗・中田光星・河内岳大
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] らせん構造を付与したポリメタクリル酸メチルが発現する分子機能2022

    • 著者名/発表者名
      河内岳大
    • 学会等名
      山形地区・高分子学会東北支部講演会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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