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2022 年度 実施状況報告書

表面修飾アプローチによる光重合性薄膜表面レリーフの高性能化

研究課題

研究課題/領域番号 22K05237
研究機関横浜国立大学

研究代表者

生方 俊  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00344028)

研究分担者 大山 俊幸  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30313472)
須丸 公雄  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (40344436)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード表面レリーフ / 光物質移動 / アントラセン / 光二量化 / 表面修飾
研究実績の概要

光重合性・光架橋性材料による高性能な表面レリーフを実現することを目的として、当該年度は、(1)光重合性・光架橋性材料の開発、(2)光応答性薄膜の作製と表面レリーフ形成能評価、(3)表面修飾基板の最適化、の3つの課題の実施計画を設定し、研究を進めた。
(1)光重合性・光架橋性材料の開発の計画においては、新たに一つの新規ビスアントラセンを合成し、溶液中および薄膜中における光反応性を調査し、これまでに開発してきた一連のビスアントラセンとの比較を行った。その結果、嵩高い接続官能基を有するビスアントラセンの方が、同じ温度における光反応性は低下するものの、薄膜の安定性が向上することを見いだした。
(2)光応答性薄膜の作製と表面レリーフ形成能評価の計画において、既に研究室で開発を進めているビスアントラセンを用いて薄膜を作製し、光誘起表面レリーフ形成能について評価を進めた。パターン露光における光強度・照射時間・周期のパラメータに関して、形成する表面レリーフの断面形状や高低差との相関を見いだした。また、形成した表面レリーフの消去可能/不可能の境界条件を見いだし、高低差約200 nmの表面レリーフについて可逆的な消去・再形成を実現した。
(3)表面修飾基板の最適化の計画において、アントラセン基を有する3種類のシランカップリング剤を合成し、ガラス基板への吸着膜作製条件の検討を行った。また、これらの表面修飾基板上にビスアントラセン薄膜を作製し、ビスアントラセン薄膜の脱濡れ温度を評価した。その結果、シランカップリング剤が単層的に表面吸着している条件においては、修飾密度が高い程、ビスアントラセン薄膜の脱濡れ抑制能が高いことを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、(1)光重合性・光架橋性材料の開発、(2)光応答性薄膜の作製と表面レリーフ形成能評価、(3)表面修飾基板の最適化、の3つの課題の実施計画を設定し、研究を進めてきた。(1)の計画においては、新規ビスアントラセンを合成し、溶液中および薄膜中における光反応性を調査した。嵩高い接続官能基を有するビスアントラセンの方が、同じ温度における光反応性は低下するものの、薄膜の安定性が向上する知見を得た。(2)の計画において、形成する表面レリーフの形状や高低差と、パターン露光における光強度・照射時間・周期との相関を見いだし、高低差200 nmの表面レリーフについて可逆的な消去・再形成を実証した。さらに(3)の計画において、表面修飾基板の最適化が達成されたことにより、(2)の研究計画の達成を推進した。以上より、ほぼ計画通りに進行し、研究目的は概ね計画通りに達成された。

今後の研究の推進方策

光重合性・光架橋性材料材料として、これまでに得られた知見を踏まえ、最適な材料を設計・合成し、この薄膜を用いて表面レリーフ形成能を評価する。また、二層膜化に向けて、光不活性層の構築を進める。さらにこの光重合性・光架橋性材料材料のオンデマンド精密パターン光照射による細胞制御への展開を図る。

次年度使用額が生じた理由

申請時に購入を予定していたフォトダイオードアレイ型の検出器を他の助成金により購入することができたため、次年度使用額が生じた。これらは、フォトマスクなどの消耗品の購入に使用することを予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] UV-Vis Higher-Order Derivative Spectra Disclose the Involvement of Two Processes in the Solid-State 4+4 Photocycloaddition of an Amorphous Bisanthracene2022

    • 著者名/発表者名
      Ichimura Kunihiro、Sonoda Taishi、Ubukata Takashi
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 95 ページ: 935~941

    • DOI

      10.1246/bcsj.20220082

    • 査読あり
  • [学会発表] ビスアントラセンの接続官能基がもたらす光誘起表面レリーフへの影響2022

    • 著者名/発表者名
      三次佑弥、青木脩、丸本康太、園田泰史、生方俊
    • 学会等名
      第43回光化学若手の会
  • [学会発表] Influence of the connecting functional group of bisanthracene on photoinduced surface relief2022

    • 著者名/発表者名
      Yuya Miyoshi, Shu Aoki, Kota Marumoto, Taishi Sonoda, Takashi Ubukata
    • 学会等名
      RadTech Asia 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 無色透明材料の可逆表面レリーフの光形成2022

    • 著者名/発表者名
      生方俊・二宮功太・三次佑弥・中川侑空・青木脩・嶋田勇生・丸本康太・井村紗知子・園田泰史・中山恵
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] ビナフチル骨格により架橋したピレニルエテンの光化学反応2022

    • 著者名/発表者名
      中村 了・横山 泰・生方 俊
    • 学会等名
      2022年光化学討論会
  • [学会発表] ビナフチル誘導体の6π電子環状反応おけるらせん反転2022

    • 著者名/発表者名
      生方俊・古谷正樹・北野朋希・飯吉優一・加藤竜二・中川哲也・横山泰
    • 学会等名
      2022年光化学討論会
  • [備考] 研究者総覧

    • URL

      https://er-web.ynu.ac.jp/html/UBUKATA_Takashi/ja.html

  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/ubukata-takashi

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公開日: 2023-12-25  

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