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2022 年度 実施状況報告書

無輻射遷移過程の解明とその深青色OLED材料の分子設計への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K05253
研究機関京都大学

研究代表者

佐藤 徹  京都大学, 福井謙一記念研究センター, 教授 (70303865)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード無輻射遷移 / 振電相互作用 / 有機EL / 内部転換 / 系間交差
研究実績の概要

励起状態と基底状態間や励起状態間の遷移は、それがフォトンまたはフォノンのどちらにより引き起こされるかに応じて、輻射遷移と無輻射遷移に分類される。分子における核の運動を扱う表現としてBorn-Oppenheimer (BO)表現とCrude Adiabatic (CA)表現がある。本研究では、CA表現に基づき、多モードを考慮した内部転換速度定数の表式を導出し、9-フルオレノンを例として計算を行った。また、振電相互作用の密度形式である振電相互作用密度(VCD)および、振動双極子モーメントで重み付けした終振電状態の状態密度により、内部転換過程における振電相互作用とエネルギーギャップの役割について明らかにした。
また、Mixed-spin crude adiabatic表現を用いて、全ての振動モードを考慮した系間交差速度定数の解析解を導出した。この表現では、系間交差はフォノンを駆動力とし、異なるスピン多重度の状態がスピン軌道相互作用により混合した状態間の遷移だとみなすことができる。そのため、フォノンを駆動力として、同一のスピン多重度間を遷移する内部転換と統一的な枠組みを与える。さらに、crude adiabatic表現を用いることで、振電相互作用の起源をVCDにより明らかにした。得られた解析解に基づき、9-フルオレノンのS1からT2、およびS1からT1への系間交差速度定数を定量的に計算し、系間交差過程における主要なプロモーティングモードと、電子励起エネルギーを受け取るアクセプティングモードを決定した。それらの振動モードのVCD解析から、9-フルオレノンにおける系間交差の起源を特定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和4年度には、CA描像に基づく多モードを考慮したVCCを含むkICおよびkISCの表式を導出することを予定したが、これを達成している。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りにすすめていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は計算機を購入せず、外部の計算資源を利用した。2023年度に計算機を購入する予定である。また、コロナのためほとんど出張旅費を使用することがなかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 内部転換過程におけるプロモーティングモードとアクセプティングモード2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 徹, 大田 航, 上島 基之
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] 系間交差過程における振電相互作用とスピン軌道相互作用2023

    • 著者名/発表者名
      大田 航, 上島 基之, 佐藤 徹
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] Internal Conversion Processes from the S2 and S1 states in Azulene2023

    • 著者名/発表者名
      在間 嵩朗, 大田 航, 佐藤 徹
    • 学会等名
      第18回京都大学福井謙一記念研究センターシンポジウム
  • [学会発表] Role of Vibronic Couplings and Energy Gap in the Internal Conversion Process of a Molecule2023

    • 著者名/発表者名
      大田 航, 上島 基之, 佐藤 徹
    • 学会等名
      第18回京都大学福井謙一記念研究センターシンポジウム
  • [学会発表] 内部転換過程における振電相互作用とエネルギーギャップ2022

    • 著者名/発表者名
      大田 航, 上島 基之, 佐藤 徹
    • 学会等名
      2022年光化学討論会

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公開日: 2023-12-25  

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