研究実績の概要 |
シリアで発掘された青色ビーズと同質の青色物質を非生物系で合成することを目的として、常温常圧・湿式でハイドロキシアパタイト(HAp)の沈殿を合成条件の検討を行った。1M硝酸カルシウム水溶液にビュレットで1Mリン酸水素アンモニウム水溶液を滴下しながら、駒込ピペットで硝酸やNaOHでpHを 2, 6, 7, 8, 10, 12 に調整し, Hapの合成を行った。pH = 2ではCaHPO4・2H2Oのみがみられたが、pH = 6以上でHApが生成していくとともに減少し、pH = 10, 12ではHApのみが存在することがわかった。 次に、過マンガン酸カリウム水溶液を水酸化ナトリウムでpH 12以上にしてから、過酸化水素などの還元剤を添加したところ、水溶液の色が、赤紫色から青色、緑色、褐色と変化し、最後は褐色の沈澱が生じて上澄みは透明になることがわかった。還元剤の添加量により、この変色の速度が変化することも確認した。 さらに、上記のHApの合成条件のうちpH12を採用し、過マンガン酸カリウム水溶液と還元剤を添加して、Mn添加HApの合成を試みたところ、本来白色のHApと異なり、青色や緑褐色の沈澱が得られた。沈澱は数日放置しても変色・退色を起こさず、水溶液とは異なり安定に固定されることがわかった。 これらの生成物の結晶構造を粉末X線回折で、マンガンの化学状態をMn K-XAFS測定に評価を行った。現在、測定データの解析中である。また、その測定結果より、今後の青色のマンガン化合物の合成方法について検討を行う。
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