研究課題/領域番号 |
22K05274
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 滋啓 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20707806)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | SOFC / アノード / Infiltration法 / 助触媒 / Ba2In2O5 / ブラウンミラライト構造 |
研究実績の概要 |
前年度から引き続きInfiltration法を用いた助触媒の添加方法に関する研究をメインに行った。Ba成分の気発抑制のために、酸素雰囲気下で電極(アノード)焼付を行うことでBaの揮発を抑制することができた。さらには助触媒を広域に添加されたことをSEM-EDXより確認した。Infiltration法によって充分にBIO成分をアノード層内にいきわたらせることができた。しかし電流遮断法(IR-free)では電極性能は低下した。その考察として、Ba成分、In成分が過剰であり活性サイト形成に至らなかった成分が阻害相として働いたことが考えられる。また、XPS測定の結果からNi2pのピークに変化が見られた。ここからBaやIn成分とNiの合金化も電極性能を阻害したと考える。 また、BIOとは異なる助触媒のBIGaO助触媒粉末を用いた懸濁液の実験条件も試みた。その電流遮断法(IR-free)の結果では内部抵抗の増加から性能は基準セルに比べて劣る結果であった。同じ助触媒を使用したとしても添加方法、アノード層内への添加の行き届きの違いで活性サイト形成に差が出ることが新たに確認された。さらに、Infiltration法の助触媒添加ではNi表面を助触媒が覆うことで、その働きを阻害したため、電極性能向上が見られなかったと考察した。助触媒の添加の際はNi表面を考慮し助触媒を添加するアプローチが必要であると考えられる。 本研究における性能を向上させるための異なるアプローチとして、ブラウンミラライト関連酸化物であるBa2In2O5 (BIO)、 Ba2In1.9Ga0.1O5 (BIGaO)、 Ba2In1.9Sn0.1O5 (BISnO)及び Ba2In1.5Sc0.5O5 (BIScO)を助触媒候補として選定し合成し、添加助触媒の違いにアノード層内理想的活性サイトが形成効果を検討した。助触媒の違いにより、発電性能の違いが得られたため、その理由を次年度以降の取り組みで明らかにする予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度における進捗として申請者は「おおむね順調に進展している」と判断した。Infiltration法の最適条件の検討は行うことができた、結果Infiltration法でアノード層内にBIO等の助触媒成分を行き届かせて、YSZ表面のみに狙って活性サイトを形成することは困難であることは明確となったが、助触媒の種類(ベースはBa2In2O5でBIOにそれぞれ異なるドーパントを置換した助触媒)を変えることで発電性能の差異を得ることができた。 これは言い換えれば添加する助触媒酸化物の違いによって、活性化サイト形成に異なる影響を及ぼしたことになる。この異なる助触媒添加による、発電性能の違いを明らかにすることができればSOFCアノード層内における理想的活性サイトの形成につながると考えらる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は異なる助触媒粉末の添加による、発電性能の違いを欠陥構造シミュレーションによってなぜ活性サイトの形成に影響を及ぼしたのかを考察すると共に助触媒の種類を全く異なる酸化物に変更した際にどのような発電性能、活性サイトの形成にどのような影響を及ぼすかを検討する。また、助触媒自身の粒系を制御し、その活性サイト形成への影響の効果も併せて取り組んできたいと考える。 最終的に申請者が考える「理想的な活性サイト」とは何なのか、それを実現させて性能向上につなげることは可能であるのか明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額を用いてSOFC単セル合成用の試薬・材料費、発電測定用白金貴金属の消耗品類にあてる予定である。また、実験を進めるにあたり試料合成の外注の必要も出てきたのでその経費にもあてる予定である。
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