研究課題/領域番号 |
22K05279
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
王 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (10356610)
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研究分担者 |
吉澤 徳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 総括研究主幹 (10358327)
佐藤 由也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80711291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラフェン / メソポーラスシリカ / サンドイッチ型複合体 / 垂直ポア配向 / 酵素充填剤 / 酵素反応 |
研究実績の概要 |
本研究では酵素分子を独自なグラフェン-メソシリカサンドイッチ型ナノ構造体のメソポアに均質的に充填し、極めて効率の良い汚染物除去用反応触媒として活用することを目指している。昨年度において、主に四級アンモニウムイオン型界面活性剤を鋳型に膨潤剤を適用するなど、メソポアサイズが5nm以上まで拡大した、酵素充填に適した複合体材料を開発できた。R5において、主に得られた複合材料へのラクタマーゼ型酵素の充填様式、これらを用いてアンピシリンを分解無害化する効果について検討した。その結果、①還元型酸化グラフェンに対して、グラフェンーメソポーラスシリカ複合体への酵素固定力が強く、アンピシリン分解力が高く、繰り返し効果も大変高かったこと、②ピュアのメソポーラスに対し、同じ酵素充填量で比較した場合のアンピシリン分解率と繰り返し性能が同様であるが、グラフェンーメソポーラスシリカ複合体の方は単位シリカ重量の酵素充填効率が良く、言い換えれば、酵素充填密度がより高められ、充填様式を変化させることによりアンピシリン分解効率を上げさせる可能性があることが分かった。また、400nm以下カットしたフィルター付きキセロンランプ照射条件下において、ピュアなメソポーラスシリカの系では光照射によるアンピシリン分解の増進効果がないのに対し、グラフェンーメソポーラスシリカ複合体では、低温ほど顕著なフォートサーマル効果があることを明らかにした。更に、より広範な酵素種類の固定剤として応用可能な、ポアサイズが更に大きいグラフェンーメソポーラスシリカ複合体を得るために、ブロックポリマーを鋳型とする複合体の合成も試みた。今年度得た成果を二件の学会発表を果たし、一報の論文投稿を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案時の年次計画通りに研究を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画で予定した通り、R6年度において、主に酵素反応の最適化を行う予定である。ラクタマーゼだけでなく、ウレアーゼなどを適用した酵素充填方法の開発及び充填効果の最適化を進め、アンピシリンや尿素の加水分解などの酵素反応への応用効果を検討する。また、ブロックポリマーを鋳型分子としてポアサイズのより大きい複合体の合成方法の探索を深化し、酵素充填及び汚染物分解効果の最適化を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在ある他の研究資源を効率よく当該研究にも活用することができており、今年度予算をできる限り節約し来年度以降非常勤職員の雇用等の費用として捻出できるようにした。そのため、次年度使用額が生じた。
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