研究課題/領域番号 |
22K05296
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石黒 志 東北大学, 国際放射光イノベーション・スマート研究センター, 助教 (20752455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | X線顕微分光 / 全固体電池 / X線結像結像顕微鏡 / タイコグラフィ法 / XAFS |
研究実績の概要 |
本年度の研究では薄膜型固体電池をターゲットに電池作動条件下、充放電過程での化学状態分布変化の可視化を各種X線顕微分光法(オペランドX線結像顕微鏡-X線吸収微細構造(TXM-XAFS)法およびオペランドX線スペクトロタイコグラフィ法)で目指した。薄膜全固体電池試料には正極にLiCoO2 (LCO)、固体電解質にLi1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12 (LATP)、負極に Fe2(MoO4)3 (FMO)が積層された構造のものを用意した。薄膜電池破片をステンレス製の計測用ホルダに接着し、集束イオンビーム加工(FIB)を用いて、電池断面方向からのX 線吸収量を XAFS 解析に最適になるように幅を共に 20 μm 程度に加工した。電池試料両極はポテンショ・ガルバノスタットに接続することで、充放電操可能になり、この試料をSPring-8に持ち込み、充放電過程を少しずつ可変しながら、薄膜電池試料断面方向からのCo K端及びFe K端 吸収端近傍TXM-XAFS計測を行った。Co K端空間分解XAFSスペクトル解析からは正極LCO層の、Fe K端空間分解XAFSスペクトル解析からは負極FMO層の、Li挿入脱離に伴う化学状態分布の変化を可視化する事ができた。充放電状態が段階てきに変えて行くに従い、両極材料のLi挿入脱離メカニズムの違いから生じる、異なる電極層内の電解質側から集電体膜方向への充電度分布変化の傾向を捉える事に成功した。また同様な加工を行った電池試料をX線スペクトロタイコグラフィ法でもオペランド計測を実施し、正極でのより高空間分解な化学状態変化を可視化する事にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回は完全な薄膜型電池系ではあるが、FIB加工によりマイクロ電池環境を構築し、そのオペランド顕微分光イメージングの計測実験及びその解析に成功し、正極・負極各電極層での充放電過程ので化学状態変化の可視化までには到達している。 計画書に挙げた測定試料構築・オペランド計測・計測データ解析の三項目をまんべんなく進展することができた。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な薄膜全固体電池系にはついては計測の目処を立てることができたので、正極の一部を粒子系にするなど、より正負極・固体電解質界面のレイアウトを高度化したマイクロ電池構築を目指し、順次X線顕微分光分析にに投入していく予定である。
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