研究課題/領域番号 |
22K05319
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
實吉 尚郎 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10564784)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 合成核酸 / 生体内化学反応 / 細胞内化学反応 / 核酸合成 / 抗がん |
研究実績の概要 |
がん細胞はテロメアの異常伸長により無限増殖している。そのため、テロメアは新たながん化学療法のターゲットになっている。例えば、テロメア突出部位に対応する合成オリゴヌクレオチド(T-oligo)は、テロメアの損傷状態を模倣し細胞死を誘導する。しかしながら、テロメアを標的にしたがんの抑制手法は正常細胞とがん細胞との十分な識別ができず、副作用の回避が困難であった。本研究では、T-oligoに保護基を結合し、がん細胞選択的な脱保護反応をトリガーとした細胞死誘導を達成する。正常細胞では脱保護されず機能しないため、副作用の軽減が可能となる。本年度は、T-oligo末端に存在するリン酸基の保護基を設計、合成しT-oligoへの導入を試みた。しかしながら、保護基の構造によっては通常の合成条件では導入が困難であった。質量分析の結果より、保護基が合成工程中に脱離することが主な原因であると予想された。脱離を回避するため、合成条件を変更することで保護基の導入が可能になった。次に、合成したT-oligoの脱保護反応に対する応答性と生成物の同定を行った。具体的には、市販の酵素を用いた脱保護反応と脱保護体の同定をHPLCおよび質量分析により行った。リン酸部に保護基が導入されたT-oligoは、酵素処理により元のT-oligoへと変換された。次に、がん細胞に対する増殖と生存への影響を確認する目的で、生細胞を用いたクローン原性アッセイをおこない細胞内で機能することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、設計した核酸分子の合成と細胞実験を行った。標的分子の合成において、通常の核酸合成条件では合成が難しかったが、固相合成条件を一部変更し、合成を完了した。さらに合成した核酸分子の性能を試験管内および細胞実験により評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、正常細胞への影響やがん細胞への効率的なデリバリーも含め検討を加えていく。又、実際の腫瘍形成への影響をマウスを用いた動物実験により確かめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
有機合成ならびに核酸合成が比較的順調に進んだためと考えている。今後は、細胞実験に使用する試薬類や動物実験の経費に使用する予定である。
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