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2022 年度 実施状況報告書

インドリジンの光反応による結合の切断・形成法の開発と生命科学研究への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K05325
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

渡邊 賢司  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (90631937)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードインドリジン / 光反応 / アミン / カルボン酸
研究実績の概要

本研究の目的は、本来は相反するプロセスである共有結合形成と切断を望みのタイミング、場所および進行度で同時に起こす新たな化学反応を開発することである。そして、本反応を利用した生命科学研究や創薬に役立つ生体材料やプローブ分子の開発を行う。我々はこれまで、短時間の光照射によりカルボン酸やアルコール、アミン化合物を放出・連結する、3-アシルインドリジンの光反応を研究してきた。今年度は、3-アシルインドリジンのアミンとの光反応に焦点を当てて研究を行なった。光増感剤とアミンの存在下、カルボキシ基を持つ医薬品化合物を連結した3-アシルインドリジンに対して赤色光を照射することで、共有結合の切断による医薬品化合物の放出と、3-アシルインドリジンとアミンとの間での共有結合形成が同時に行えることを示した。本系は将来的には薬物が放出された箇所を標識し、可視化する技術などに利用することが期待できる。本研究成果を査読付国際論文誌に投稿し、採択された(Communications Chemistry 2022, 5:91)。3-アシルインドリジンの生命科学研究への応用を進める上で新たな課題が生じた。生体内や細胞内で光反応を実施することを想定した場合、3-アシルインドリジンと光増感剤の2つの成分が希釈され、反応効率が低下してしまう。さらに、特定の標的部位で光反応を行いたい場合、標的分子と結合するターゲティングリガンドを3-アシルインドリジンに連結する必要がある。すなわち、生理条件で機能する光反応系を実現するには、3-アシルインドリジン、光増感剤およびターゲティングリガンドを、光反応性や親水性を損なうことなく適切な配置で集結する新たな新たな方法論の開発が必要となった。本課題を解決するために、3-アシルインドリジンの光反応を促進する新たな担体の開発を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

共有結合形成と切断を望みのタイミング、場所および進行度で同時に起こす新たな化学反応の開発を行い、論文発表した。3-アシルインドリジンの生命科学研究への応用を進める上で新たな課題が生じた。生理条件で機能する光反応系を実現するには、3-アシルインドリジン、光増感剤およびターゲティングリガンドを光反応性や親水性を損なうことなく適切な配置で集結する新たな新たな方法論の開発が必要となった。3-アシルインドリジンの光反応を促進する新たな担体の開発を行い、この問題を解決した。このため、本研究はおおむね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

今年度開発した3-アシルインドリジンの光反応の担体を利用することで、目的の光反応が希薄な水溶液中や細胞中においても進行することを明らかにした。本成果について論文発表を進める。また、本担体は異種の機能性分子を均一に多数集結できる点が特徴である。本研究目的以外にも、ナノ医薬品や生体材料の中間体として利用が期待できることから、特許申請を進める。また、この担体を用いて光以外の作用を利用した新たな化学反応の開発を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度はほぼ予定通り予算を執行した。1万円未満の次年度への繰越金は、出張旅費などの一部として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Red light-induced conjugation of amines through amide bond formation triggered via photooxidation of 3-acylindolizines2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Watanabe, Asuka Kuratsu, Daisuke Hashizume, Takashi Niwa, Takamitsu Hosoya
    • 雑誌名

      Communications Chemistry

      巻: 5 ページ: 91

    • DOI

      10.1038/s42004-022-00712-5

  • [学会発表] Photoreactions of indolizines for cleavage and formation of covalent bonds: Toward application for life science research2023

    • 著者名/発表者名
      Kenji Watanabe, Takashi Niwa, Takamitsu Hosoya
    • 学会等名
      BDR Retreat 2022
  • [学会発表] Development of photo- and radio-caged compounds and demonstration of compound release in vivo using animal models2023

    • 著者名/発表者名
      Yousuke Kanayama, Kenji Watanabe, Yuka Nakatani, Takashi Niwa, Yasuyoshi Watanabe, Takamitsu Hosoya
    • 学会等名
      第26回異分野交流の夕べ

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公開日: 2023-12-25  

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