研究課題/領域番号 |
22K05332
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
円谷 健 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00372855)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シガテラ / シガトキシン / モノクローナル抗体 / 電位依存性ナトリウムチャネル / ハプテン |
研究実績の概要 |
カリブ海型シガトキシン(C-CTX)は,米国大西洋やカリブ海域におけるシガテラ食中毒の主要原因毒素である。この地域におけるシガテラの予防には、魚類からのC-CTXの微量検出法を確立することが必要であるが、そのためにはC-CTXを特異的に認識する抗体の作製が必須である。本研究では、低分子ハプテンを免疫することによるC-CTXを特異的に認識する抗体の作製およびこれを用いた微量検出法の開発を目的とする。 本年度は、以下の項目について検討した。これまでの研究により、5環性ハプテンを合成、免疫することによって獲得したモノクローナル抗体は、遊離のハプテンには強く結合する抗体は得られていない。その理由として、リンカー部への結合の寄与が大きいためと考えられたため、リンカー部をハイドロカーボンとしたハプテンを新たに設計、合成した。合成したハプテンをキャリアタンパク質と縮合して抗原として免疫した。3回免疫後のマウスより脾臓を摘出し、脾臓細胞とミエローマ細胞とを電気細胞融合法により細胞融合して、ハイブリドーマを作製した。その結果、ハプテン-BSAを認識するモノクローナル抗体を50種以上獲得した。これらモノクローナル抗体について、遊離のハプテンを用いた阻害実験を行ったところ、25H8は遊離のハプテンにKd=460 nMで結合することが明らかとなった。今後、25H8を大量培養し、C-CTXの高感度検出を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、新たな5環性ハプテンの合成、タンパク質のコンジュゲートおよび免疫を行い、有望なモノクローナル抗体を産生する複数のハイブリドーマを獲得することに成功した。特に、25H8は競合ELISAの結果から、遊離のハプテンを認識することが明らかとなった。したがって、概ね順調に進展してると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) C-CTX右端構造を認識するモノクローナル抗体の調製:今後、25H8を大量培養し、C-CTXに対する結合活性などを求め、機能解析する。 (2) サンドイッチELISA方によるC-CTXの高感度微量検出法の確立:C-CTX左端構造を認識する抗体あるいは右端構造を認識する抗体のいずれかをアルカリフォスファターゼ(ALP)で標識し、これらを用いたサンドイッチELISA法によるC-CTXの検出を検討する。高感度化を目指して、諸条件を検討し、高感度でC-CTXを検出可能な条件を見出す。
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