研究課題/領域番号 |
22K05340
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
奥 尚枝 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (90281518)
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研究分担者 |
本田 千恵 武庫川女子大学, 薬学部, 助教 (90411983)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 抗かゆみ物質 / 天然資源 |
研究実績の概要 |
痒み過敏(itchy skin)を示す皮膚て見られる難治性痒みへの治療薬の開発を目指し、以下を行なった。 新たな治療標的因子の探索:同じ痒み刺激に対して過剰な掻き動作(=痒み刺激への反応)を示す過敏マウスと、逆にほとんど反応しない鈍感マウスの肥満細胞とで特徴的に発現差が見られるtalin-1およびfibronectinと痒み過敏との関連を明らかにする目的で、両機能性タンパク質の発現量を解析するためのReal-time PCR条件について、先に確立した条件を実際に両マウスから摘出していた肥満細胞での解析に適応したが、有意差が観られなかった。現在は抗体を用いた蛍光画像解析等の新たな方法を検討中である。 新規シーズ植物と活性物質の探索:マウスの引っ掻き動作を指標にしたin vivoアッセイ法により、ストレス負荷時の増強された痒みへの有意な抑制効果を示すHypericum patulum花床部エキス (HP)から単離した3,8-biapigenin(1)のストレス負荷時の痒み増強モデルにおける抗かゆみ効果メカニズムを明らかにする目的で、1を含む数種のHP単離化合物について、カフェイン投与で増強されたマウス運動量に対する鎮静作用を評価した。その結果、HPの難治性痒み抑制効果には1による抗痒み効果と、1以外の未知の化合物による鎮静効果が存在することが示唆された。さらに、痒みの増悪因子となる末梢血流量不全への改善効果が期待されるKummerowia striata 地上部やRhododendron × pulchrum花弁についても成分探索を継続し、前報に引き数種のフラボノイドおよびトリテルペン化合物を新たに単離し、構造および活性を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
シーズ植物やその成分単離については、一定の成果は得られたが、新規治療標的因子の探索においては、目標とした定量方法が確立できなかったことから、予定していた動物実験に進めなかったことから、さらなる検討が必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、過敏マウスと鈍感マウスの選別を実施後、両マウスの肥満細胞あるいは皮膚でのtalin-1およびfibronectin、あるいはそれらの転写因子の発現量を定量解析する方法を模索する。定量法を確立後は、難治性の痒みとの関連を明らかにすることで、新たな治療標的因子としての可能性を探る。さらに、天然資源から治療物質の探索については、既存または、新たな痒み関連因子をターゲットしたアッセイ系を用いて継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ターゲットとした機能性タンパク因子の定量解析法の確立ができなかったことから、動物実験に伴う機器のレンタル料や、それに伴う消耗品、生化学的解析依頼料などが未使用となった。現在、新たな定量解析法を模索中であり、確立後は動物実験等を実施する。
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