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2023 年度 実施状況報告書

細胞種選択的なGPCRの制御を可能にするin vivoケモジェネティクス法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05351
研究機関名古屋大学

研究代表者

堂浦 智裕  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00745226)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード化学遺伝学 / Gタンパク質共役型受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体 / 薬物動態 / コンディショナルノックインマウス
研究実績の概要

本研究ではGPCRの機能をサブタイプ選択的かつ細胞種選択的に解析可能な方法論の開発研究を実施している。昨年度までに、GPCRの一つであるmGlu1の野生型を阻害し変異型を阻害しないリガンドとしてMPETを見出した。2023年度は実験動物の生体内でMPETによる野生型mGlu1の阻害が可能かどうか調べるため、MPETの薬物動態と体内分布に関する検討を実施した。
MPETの薬物動態と体内分布の解析は陽電子放出断層撮影(PET)より実施した。合成した放射性同位体ラベル化MPETをマウスに尾静脈注射し、放射性同位体ラベル化MPETの体内分布と薬物動態を測定した。この実験より、MPETがマウスの血液脳関門を透過することとmGlu1が多く発現している小脳に集積することを確認した。脳内からのMPETの時間依存的な減少も観察され、数時間以内にMPETが対外へ排出されることが示された。また、経口投与したMPETがマウス脳内のmGlu1に結合するのかどうか検証するため、MPETを経口投与した後に放射性同位体ラベル化MPETを尾静脈注射し、PET実験を実施した。MPETを経口投与することにより放射性同位体ラベル化MPETの小脳への集積が検出されなくなったことから、経口投与したMPETが血液脳関門を透過して脳内のmGlu1に結合することが明らかとなった。
また、小脳のmGlu1がマウスの運動学習に及ぼす影響を調べるためのコンディショナルノックインマウスの作製を実施した。全身のmGlu1が変異型になるfloxマウスを作製し、小脳特異的プロモーター制御下でCreリコンビナーゼを発現するマウスと交配させることにより目的とするコンディショナルノックインマウスを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主目標である動物個体内でGPCRを細胞種選択的に制御する化学遺伝学的な系の構築に向けて、使用するリガンドの動物個体内での薬物動態と分布についての解析に成功した。本研究成果は上記の主目標の実現に向けた大きな進歩であると考えられる。また、主目標の実現に向けたコンディショナルノックインマウスの開発にも成功した。そのため、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

動物個体内での細胞種選択的なGPCRの機能解析に向けて、使用するリガンドの薬物動態と体内分布についての情報を得ることに成功した。また、動物個体内での細胞種選択的なGPCRの制御を可能にするコンディショナルノックインマウスの作製にも成功した。今後はこれらを利用して実験動物の行動実験を実施し、その結果から動物個体内での細胞種選択的なGPCRの機能解析を実施する予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 細胞外ループの構造情報に基づくドーパミン受容体のケモジェネティック制御2024

    • 著者名/発表者名
      原 隆史、柏 俊太朗、堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(日本大学船橋キャンパス)2024/3/18-21
  • [学会発表] 代謝型グルタミン酸受容体1のケモジェネティック制御及び人工リガンドのin vivo動態解析2024

    • 著者名/発表者名
      近藤 匠、堂浦 智裕、山﨑 友照、藤永 雅之、張 明栄、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(日本大学船橋キャンパス)2024/3/18-21
  • [学会発表] Loop-Swappingによるセロトニン5-HT2A受容体に対する臨床薬の親和性制御2024

    • 著者名/発表者名
      井上 始、堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(日本大学船橋キャンパス)2024/3/18-21
  • [学会発表] アデノシンA2A受容体サブタイプ選択的な光応答性リガンドの開発およびその構造基盤2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木 啓文、堂浦 智裕、荒谷 剛史、浅田 秀基、岩田 想、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(日本大学船橋キャンパス)2024/3/18-21
  • [学会発表] アデノシン受容体を標的とした次世代ケモジェネティクスと光薬理学の展開2023

    • 著者名/発表者名
      堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会(福岡国際会議場)2023/10/31-11/2
    • 招待講演
  • [学会発表] 小脳運動学習の分子基盤に迫るGPCR型グルタミン酸受容体1のin vivoケモジェネティクス2023

    • 著者名/発表者名
      堂浦 智裕、柏 俊太朗、近藤 匠、長谷川 寛太、山﨑 友照、藤永 雅之、張 明栄、掛川 渉、清中 茂樹
    • 学会等名
      第17回バイオ関連化学シンポジウム(東京理科大学野田キャンパス)2023/9/8-10
  • [学会発表] ケモジェネティクス法によるGPCR型グルタミン酸受容体1の自在な活性制御2023

    • 著者名/発表者名
      近藤 匠、堂浦 智裕、長谷川 寛太、清中 茂樹
    • 学会等名
      第17回バイオ関連化学シンポジウム(東京理科大学野田キャンパス)2023/9/8-10
  • [学会発表] 細胞外ループの塩橋構造に着目したアデノシンA2A受容体の化学遺伝学活性化2023

    • 著者名/発表者名
      牧野 碧、堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      第17回バイオ関連化学シンポジウム(東京理科大学野田キャンパス)2023/9/8-10
  • [学会発表] アデノシンA2A受容体サブタイプ選択的な光応答性リガンドの開発2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 啓文、堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      第17回バイオ関連化学シンポジウム(東京理科大学野田キャンパス)2023/9/8-10
  • [学会発表] CHEMOGENETIC REGULATION OF ADENOSINE A2A RECEPTOR FOCUSING ON SUBTYPE SELECTIVITY OF THE ANTAGONISTS2023

    • 著者名/発表者名
      Yuma Matsuoka, Tomohiro Doura, Shigeki Kiyonaka
    • 学会等名
      The Optical Probes Conference: Discovery to Application, Omni Rancho Las Palmas Resort & Spa, June 4-8, 2023
  • [学会発表] 代謝型グルタミン酸受容体mGlu1のin vivoのケモジェネティクス:リガンドの最適化とin vivo評価2023

    • 著者名/発表者名
      堂浦 智裕、柏 俊太朗、長谷川 寛太、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会 第17回年会(大阪大学豊中キャンパス)2023/5/29-31
  • [学会発表] 細胞外表層の構造に着目したアデノシンA2A受容体の化学遺伝学的活性化2023

    • 著者名/発表者名
      牧野 碧、堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会 第17回年会(大阪大学豊中キャンパス)2023/5/29-31
  • [学会発表] アデノシンA2A受容体の光薬理学による活性制御法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 啓文、堂浦 智裕、清中 茂樹
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会 第17回年会(大阪大学豊中キャンパス)2023/5/29-31

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公開日: 2024-12-25  

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