研究課題/領域番号 |
22K05362
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河崎 史子 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (40822911)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 修飾塩基の検出 / 新生RNAラベリング |
研究実績の概要 |
昨年度に、細胞内において一定期間内で新規に合成されたRNA(新生RNA)を標識するための“RNAラベル化剤”としてformyl化モノヌクレオシド(以後ラベル)を選定しました。今年度はRNAに導入されたラベルが、化学処理によって読み出せることをIllumina社のシーケンサーを用いて定量的に確認し、反応条件(バッファー組成、反応pH、各種試薬濃度など)の最適化を行いました。続いて、シングルセル計測で用いるマイクロビーズを実際に用いて、マイクロビーズ上に捕捉したRNAに対しても同様の化学処理が行え、ラベルが読み出せるかどうかを検証しました。また、HEK293T細胞をモデルとして用い、新生RNAラベリング効率(RNAラベル化剤が細胞に取り込まれ、RNA上の塩基を部分的に置換する効率)を高速液体クロマトグラフィー連結の質量分析装置およびドットブロット法と呼ばれる分子生物学的手法で解析し、ラベリングの時間やRNAラベル化剤濃度などの検討を進めました。一方、2024年度に行うイメージングと新生RNAシーケンシングの併用実験に向けて、使用を予定している1細胞識別子をはじめとした実験ツールの最適化を行いました。 これらの研究内容について、当該年度中に国内学会ポスター発表および国内学会およびシンポジウムにて口頭発表を行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラベル化剤の読み出し効率(=ラベル量に対する、シーケンシングで読み出せるシグナルの割合)にまだ改善の余地はあるものの、シングルセル計測と組み合わせるにあたって課題であったマイクロビーズ上での反応検証などを予定通り完了しました。一方、当初予定していた、光学計測との併用という観点からの既存のRNAラベル化剤との差別化検証は未だ継続中です。従って、進捗状況は“やや遅れている”と判断し、遅れ分は次年度の予定(ライブイメージと同期した、時系列遺伝子発現解析の達成)と同時に進めます。
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今後の研究の推進方策 |
ドロップレットを用いた1細胞シーケンシング計測とformyl化モノヌクレオシドを用いた新生RNAラベリングを組み合わせ、1細胞新生RNAシーケンシング計測を確立します。さらに、シーケンシングでもイメージングでも読み出せる1細胞識別子(発表済み)と上述の1細胞新生RNAシーケンシング計測を併用することにより、ライブイメージと同期した、時系列遺伝子発現解析の達成を目指し、本研究の申請RNAラベル化剤の有用性を明らかにします。
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