研究実績の概要 |
本研究の目的は、GLUT阻害剤や解糖系を標的とした小分子化合物を用いて、グルコース非依存性がん細胞に対する作用メカニズムを明らかにし、それらの抗がん剤としての有用性をin vitroで検証することである。 本年度は主に、解糖系タンパク質を標的とした小分子阻害剤を化合物アレイスクリーニングにより探索した。アルドラーゼA(ALDOA)は解糖系の4番目の酵素で、フルクトース-1,6-二リン酸からジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3リン酸を生成する。ホスホグリセリン酸ムターゼ 1(PGAM1)は解糖系の8番目の酵素で、3-ホスホグリセリン酸から2-ホスホグリセリン酸への反応を触媒する。 理研Natural Products Depository(NPDepo)の化合物ライブラリーを固定化した化合物アレイスライド上にヒトリコンビナントHis-ALDOAあるいはHis-PGAM1を供し、抗体反応で蛍光ラベルした後、蛍光スキャナーを用いてタンパク質-化合物間相互作用を定量した。得られたヒット化合物は、マイクロスケール熱泳動(MST)を用いた分子間相互作用解析による2次スクリーニングにより、候補化合物を絞り込んだ。NPDepo化合物ライブラリーおよそ36,000化合物をスクリーニングした結果、ALDOAでは比較的強い相互作用を示した3化合物(Kd = 60~700 nM)、PGAM1では6化合物(Kd = 210~370 nM)の候補化合物を取得した。
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