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2022 年度 実施状況報告書

ゲノム編集技術を駆使して特異な非モデル藍藻の遠赤色光への適応機構を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 22K05381
研究機関京都大学

研究代表者

土屋 徹  京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (20362569)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードシアノバクテリア / クロロフィルd / 光合成 / 遠赤色光 / ゲノム編集
研究実績の概要

昨年度までに開発に成功したAcaryochloris marinaでのゲノム編集関連技術について、CRISPR干渉による遺伝子機能の解析とゲノム編集の効率化を目的として研究を進めた。CRISPR干渉では、標的遺伝子の発現を抑制することで表現型から遺伝子の機能を解析することができる。そこで、本研究課題であるクロロフィルd生合成に関与する酵素の遺伝子を探求するために、候補遺伝子のノックダウンを開始した。昨年度までに、発現抑制の程度の異なるいくつかのCRISPR干渉ベクターを開発していたので、それらを用いて標的遺伝子のノックダウンを試みたが、予想される表現型を示す形質転換株は得られなかった。コントロールとして並行して進めている既知の光合成関連遺伝子のノックダウンの試みでは期待される表現型が得られない場合もあったため、現時点では検証した遺伝子がクロロフィルd生合成に関与するかどうかは判別できない。候補となる遺伝子は他にも数多くあるので、それらのなかに目的の遺伝子がある可能性も考慮して、さらにCRISPR干渉による解析を進める必要がある。このようにCRISPR干渉の限界が明らかになってきたため、解析を促進するためにゲノム編集の効率化が必要とされた。これまでに成功していたゲノム編集の実験系では時間や労力が多くかかるため、多くの標的遺伝子の破壊を同時に進めることが難しかった。そこで、ベクターの改変などを検討することでゲノム編集の効率化を図った。その結果、A. marinaでゲノム編集をおこなう際に検討する必要がある条件についての知見が得られた。この結果より、CRISPR干渉では表現型が現れない遺伝子については、ゲノム編集による遺伝子破壊で機能を特定できる考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、Acaryochloris marinaでのゲノム編集の効率化に成功したという大きな進展が見られた。CRISPR干渉による遺伝子発現抑制では解析が困難な遺伝子もあることが判明したが、ゲノム編集による遺伝子破壊で、それら遺伝子の機能の解析が可能であると考えられる。ゲノム編集株の作出における体系的な方法論を確立したことにより、作業のスループットが上がることになる。これは、クロロフィルd生合成に関与する遺伝子の同定のみならず、遠赤色光を利用するA. marinaの光合成系の解明について大きな進展であることを意味する。
以上を鑑みて、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、多くの標的遺伝子についてCRISPR干渉をおこないつつゲノム編集を駆使した研究に注力する。具体的には、クロロフィルd生合成遺伝子の候補や光合成関連遺伝子などを標的とした逆遺伝学的解析をおこない、その機能の解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

本年度はCRISPR干渉による網羅的な遺伝子機能の解析を予定していたが、標的遺伝子によっては表現型が現れないなどの問題が生じた。その結果、当初の計画から進展が遅れてしまったため、未使用額が生じることになった。

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公開日: 2023-12-25  

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