今後の研究の推進方策 |
黄色ブドウ球菌のリピドキナーゼ、および3種類のリピドホスファターゼがそれぞれUPの生成と分解にどのように寄与するか明らかにするため、これらの遺伝子(dgkA, bacA, pptA, pptB)の単独破壊株、多重破壊株のUP含量、UPP含量を2022年度に確立した新規分析法により測定する。遺伝子破壊株のウンデカプレノール含量の測定よりpptAおよび pptBがUPの脱リン酸化に寄与すると推測されるが、UPとUPPを分別して定量することによりUPP の脱リン酸化に対するこれらの遺伝子の寄与がわかると期待される。また、これらの遺伝子を黄色ブドウ球菌発現ベクターに連結し、遺伝子破壊株に加えて遺伝子多重化株を作成し、これらの株のバシトラシン感受性を測定し、UPP含量とバシトラシン感受性の関係を明らかにする。 UP供給経路の調節について明らかにするために遺伝子発現解析を行う。測定対象とする遺伝子は、リピドキナーゼ遺伝子dgkA, リピドホスファターゼ遺伝子bacA, pptA, pptBに加えて、プレニル二リン酸合成に関わるファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子ispA, オクタプレニル二リン酸合成酵素遺伝子hepT, UPP合成酵素遺伝子uppSなどである。対数増殖期、定常期と培養の時期とバシトラシンなどの薬剤添加時の遺伝子発現を測定し、UP, UPP含量、薬剤感受性のデータと照らし合わせてリピドキナーゼ遺伝子、リピドホスファターゼ遺伝子の相互作用、役割の違いの解明を目指す。
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