研究課題/領域番号 |
22K05407
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
加藤 淳也 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 特任助教 (90762071)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ガス発酵 / 水素 / 二酸化炭素 / 大腸菌 / 酵素 |
研究実績の概要 |
本研究では大腸菌内で嫌気性のガス体基質変換酵素再構築を組み合わせることで特殊な代謝系を構築することを、そしてこれによって特殊な酵素および代謝系の解析や改変に合成生物学的アプローチを適用できるようにすることを目的としている。このような代謝系の解析は将来的な二酸化炭素の資源化と水素の利活用には重要な基盤となる。まずは最初のターゲットとして二酸化炭素と水素からギ酸を合成する酵素反応に注目した。これをモデルに酵素系の機能的発現を達成し解析を行うことでその後の展開の足掛かりとする。そこで本年度はこの酵素系を機能的に発現するための遺伝子情報収集およびコンストラクト構築を行った。酵素遺伝子、および酵素成熟化遺伝子を各々収集し、発現用コンストラクトの構築を進めた。酵素は複数のサブユニットからなり、また特に水素を変換する部位については成熟化蛋白質による修飾がその機能的発現のためには必要である。そのため、これら複数の遺伝子を、機能別に二つのベクターより発現させるプラスミドコンストラクトを構築した。また、目的とする酵素群は鉄硫黄クラスター含有蛋白質が多く、本年度対象とした酵素も同様である。そのため、宿主側についても鉄硫黄クラスター含有蛋白質の高発現に適した大腸菌宿主の構築について順次進めた。これらを組み合わせ、かつ酵素発現前には大腸菌の培養条件を増殖に適した好気条件から酸素を除去した嫌気条件にシフトすることで、目的とする酵素、代謝系の機能が発揮されると想定しており、引き続き検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発現コンストラクトの構築は順調に進んだが、嫌気性ガス代謝酵素の発現のために宿主である大腸菌をカスタマイズする過程に少し遅れがあった。ただし、この点は次年度早々には解決できる予定であり、完了すれば今後共通して使用可能な宿主となり研究課題への取り組みを加速でき、大きな問題にはならないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に完了できなかった大腸菌宿主株のカスタマイズを第一に完了させる予定である。水素と二酸化炭素からギ酸を作る酵素の機能的発現について評価しつつ培養条件について検討を進めるとともに、酵素の改変や、他の嫌気性ガス代謝酵素の機能的発現についても取り組んでいく予定である。
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