研究課題/領域番号 |
22K05416
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
山崎 晴丈 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (20456776)
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研究分担者 |
小島 勝 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (50410220)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 分裂酵母 / 経時寿命 / 寿命延長 / 細胞間コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本年度も計画に基づき、A. 寿命延長分子の同定、 B. Mot1、Asr1の下流の因子の同定、C. 長寿命因子の下流因子の同定を行った。 Aについては別予算で実施した培養上清のメタボローム解析の結果から、ピルビン酸、ホモシステイン、チロソールが寿命延長分子の候補として抽出されていた。チロソールは前年の薄層クロマトグラフィーを用いた解析でも寿命延長分子の候補として抽出していた。そこで本研究では、培養3日目の野生型株に100 uM、10 uM、1 uMになるようにこれらの物質を添加し、経時寿命を測定した。その結果、1 uMピルビン酸、1 uMホモシステインの添加で寿命の延長が確認された。また昨年同様に10 uM チロソールの添加でも野生型株の寿命の延長が確認された。また、チロソール合成経路を予想し、昨年度実施したRNA sequencing解析からWTと長寿命株のチロソール合成に関与する遺伝子発現を比較したところ、特にadh1+、pdc101+、pdc201+、cao2+について遺伝子発現が向上していることが判明した。 B、Cについては、昨年のRNA-seq解析から見出されたKK268とmot1-1が寿命延長物質を分泌するのに関与する可能性がある遺伝子11個、およびWTが寿命延長物質を受容し寿命 延長するのに関与する可能性がある遺伝子13個に加え、チロソール合成に関与すると考えられるadh1+についても、mot1-1株および野生型株において破壊株を作製した。 また、2%グルコース培地では野生型株が時に寿命延長することがあったため、確実に野生型株が寿命延長しない条件を探索し、4%グルコース培地が適当であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
寿命延長分子である可能性のある分子をさらに同定し、寿命延長分子の合成、分泌、受け取りに関する候補遺伝子の破壊株をすべて作製することができたため、順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Aの寿命延長分子の同定については、培地を4%グルコース培地に変更するにあたり、一度メタボローム解析をやり直す。また培養上清を酢酸エチルで分画後、疎水性画分について薄層クロマトグラフィーで更に分画して寿命延長活性のある画分を分析する。 B、Cの寿命延 長分子の合成、分泌、受け取りに関与する遺伝子に関する解析では、関連が示唆されている遺伝子の破壊株をの寿命を測定し、寿命延長への関与を検討する。絞り込まれた遺伝子については野生型株での高発現株を作製し、ジュモウ延長するか解析する。 Dの産業酵母での寿命延長経路の普遍性と実用性の検討では、油脂酵母 Lipomyces starkeyi と清酒酵母 Saccharomyces cerevisiae にmot-1の変異を導入し、それらの酵母で寿命が延長し、発酵生産物の生産性が向上するか解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
4%グルコース培地でのメタボローム解析を実施する必要が生じたが、3月末までに解析が終了しないことが予想されたため、次年度使用額が生じた。今年度はメタボローム解析を実施する。また培養のための培地、プラスチック器具、ガラス機器の購入を行う。培地はフィルター滅菌が必要なため、そのフィルターの購入を行う。
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