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2022 年度 実施状況報告書

皮膚の細胞間コミュニケーションにおける(プロ)レニン受容体の役割

研究課題

研究課題/領域番号 22K05439
研究機関岐阜大学

研究代表者

中川 千春  岐阜大学, 応用生物科学部, 研究員 (20792013)

研究分担者 中川 寅  岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10281049)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード(プロ)レニン受容体 / ATP6AP2 / メラノサイト / ケラチノサイト / 皮膚
研究実績の概要

メラニンは皮膚細胞のDNAを紫外線によるダメージから守る物質であり、ヒトの皮膚や毛髪の色のもととなる色素でもある。メラニンは皮膚のメラノサイト(メラニン産生細胞)内のメラノソームで作られ、ケラチノサイト(角化細胞)に受け渡されて保持される。最近の研究で、これら2種類の細胞が協働的にふるまうことが明らかになってきているが、詳細は不明である。(プロ)レニン受容体(PRR)は、受容体機能のほか、リソソームの酸性化、Wntシグナリング、細胞極性などに関わる多機能タンパク質として知られる。皮膚におけるPRRの役割は不明である。本研究では、メラノサイト、ケラチノサイトといった皮膚細胞の間で影響を及ぼしあう因子をPRRとの関わりから明らかにすることを目的とした。
当該年度は、メラノサイトのモデル細胞として培養細胞株B16-F0を、ケラチノサイトのモデル細胞として培養細胞株A431を使用して以下の研究を実施した。
(1)B16-F0細胞でのメラニン産生に関わるA431細胞由来の因子の存在が予想され、現在、その因子の同定を進めている。
(2)ゲノム編集技術を用いてPRRを欠損したB16-F0細胞を作製し、スクラッチアッセイ(創傷治癒アッセイ)により細胞遊走運動能を調べたところ、PRR欠損による遊走への明らかな影響は認められなかった。
(3)PRRの発現を抑制したA431細胞を用いて、ケラチノサイトのメラノソーム分解におけるPRRの関連性を見出し、分解メカニズムについて解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度、予定通りPRRをノックアウトしたB16-F0細胞を作製・単離し各解析に使用した。遊走運動(創傷治癒)に関しては単独培養でのPRR抑制の影響を調べており、共培養での実験を行う準備が整った。加えて、PRRと相互作用することが知られておりメラニン産生誘導機構への介在も報告されている細胞極性タンパク質Par3について、また、メラノソーム分解やメラニン産生調節への関わりが予想される酸性オルガネラについてなどの評価を平行して実施している。A431由来の因子の同定には至っていないが、各検討項目で研究が進行しておりおおむね順調と評価した。

今後の研究の推進方策

研究開始時の計画に沿って、当該年度で得られた結果を踏まえて研究を進める。
当該年度のPRR欠損B16-F0細胞を用いた検討では、(P)RR欠損による細胞遊走への影響は見られなかったが、一方他のグループの研究では皮膚細胞とは異なる種類の細胞でPRRが遊走に関わることが報告されている。PRR欠損または抑制による細胞遊走への影響について実験条件を変えた方法で再検証し、さらにB16-F0およびA431細胞の共培養や細胞の培養液抽出物の処理下など、細胞間での影響を調べる。また、A431由来の因子の同定と、PRRとの関連が報告されている知見を含む、細胞内でのPRRの役割や作用メカニズムに関する研究を実施する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度、メラニン産生に関わるA431細胞由来の因子の同定のために質量分析、およびその作用機構を調べるためのRNAシークエンス解析を外注することをあらかじめ想定し予算を計上したが、その段階まで至らなかった。次年度は、その予算を引き続き質量分析・RNAシークエンス解析を外注する費用とする計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 角化細胞におけるメラノソーム分解への(プロ)レニン受容体の関与2022

    • 著者名/発表者名
      堂脇雪乃、中川千春、小久保智隆、川瀬圭吾、橋本美涼、中川寅
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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