研究課題/領域番号 |
22K05440
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高原 照直 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (90708059)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | mTORC1 / mTORC2 / Calmodulin |
研究実績の概要 |
動物細胞の成長や恒常性維持には、タンパク質合成、脂質合成などを司るmTOR(mammalian/mechanistic Target Of Rapamycin)キナーゼが深 く関わっている。近年、Ca2+シグナル異常により発症する病的心肥大がmTOR経路異常と関連することも報告されており、Ca2+シグナルとmTOR経 路との相互作用ネットワークの重要性が示唆されるが、その具体的な分子メカニズムは不明である。本研究では、Ca2+シグナルによるmTOR経路 制御の仕組みと意義を解明し、関連する疾患の予防法創出に向けた基盤的知見を得ることを目指す。我々のこれまでの研究によりCa2+シグナルがmTOR(mammalian/mechanistic Target Of Rapamycin)経路を調節することが見いだされているが 、その具体的なメカニズムはほとんど未知である。今年度は、CaMとmTORC1制御に関してCaMが結合相手であることを明らかにしているTSC2に着目し、TSC2-Rheb間の結合に対するCaMの影響を調べた結果、CaMがこれらの結合を阻害することが示唆された。 また、これまでCaMがmTORC2サブユニットの1つであるRictorとCa2+依存的に結合するという知見に加え、他のサブユニットも同様にCaMと結合することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CaMの標的としてmTORC1制御に関わるTSC2を中心として、具体的な分子機構の1つを明らかにできつつある。 また、CaMの標的としてmTORC2の複数のサブユニットが関与する新しい知見を得ることができており、CaMがmTORC2活性を制御する上での標的因子の絞り込みが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
mTORC1制御に関しては、引き続きTSC2-Rheb間の結合におけるCaMの役割を詳細に解析していくことで、新しい分子メカニズムの解明につなげる。また、分子基盤の確立の後、mTORC1制御におけるCaMの役割を制御できる化合物などのスクリーニングを目指すため、そのアッセイ系の構築を行う。 mTORC2に関しては、CaMが結合するサブユニットを中心として、結合特性やmTORC2シグナルのアウトプットへのCa2+シグナルの役割について解析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、購入を予定していた抗体について種類を検討した結果、節約が可能となり購入しなかったため。ただし、残額は比較的少額であり、おおよそ予定通りの使用額であった。次年度の成果発表と新たに必要となる試薬などの購入に有効活用し、予定した研究をスムーズに進行させる予定である。
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