研究課題/領域番号 |
22K05454
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
安部 真人 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (30543425)
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研究分担者 |
河崎 悠也 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (00781999)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リン脂質 / 過酸化脂質 / 酸化ストレス / 分子プローブ / カルジオリピン / ホスファチジルセリン |
研究実績の概要 |
リン脂質は、細胞膜をはじめとする生体膜の主成分であり、酸化ストレス応答などの膜機能の発現に関与している。過酸化リン脂質は、生体膜の酸化ストレス条件下で活性酸素種(ROS)の産生を介して誘導される。このとき、酸化ストレスの様式によってROSの分子種が決定されるとともにそれぞれに特異的な過酸化リン脂質が誘導されると考えられている。そこで本研究では、過酸化リン脂質の網羅的合成を実施するとともに、細胞内クリック反応を用いた可視化を試みることで作用点タンパク質を明らかにする方法論の確立を目的とした。研究期間のこれまでに、複数の過酸化リン脂質の合成を達成し、網羅的合成の基盤技術を確立した。一方で、細胞内クリック反応の予備実験に取り組み、Hela細胞を用いた分子内クリック反応について条件検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに酵素合成と化学合成を組み合わせた前例のない過酸化リン脂質の合成方法を確立することができた点で大きな進捗が得られた。既に応用としてホスファチジルグリセロールとリゾビスホスファチジン酸において過酸化リン脂質に誘導することを実現しており、十分な信頼性を確保している。また、本研究の技術的な検討事項である細胞内クリック反応についても、計画を前倒しして予備実験を開始しており、条件検討を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、合成方法を確立した過酸化リン脂質に対してアジド化脂肪酸を導入することでクリック反応基質に誘導する。一方で、クリック反応のパートナー分子として蛍光基を導入した素子を用いることで、細胞内における過酸化リン脂質結合性タンパク質の局在を明らかにする方針とする。 過酸化リン脂質結合性タンパク質は、そのままアフィニティ回収する計画となっているものの、夾雑タンパク質の除去が困難である可能性が考えられる。この場合には、代表者の合成実績にもあるジアジリン環を用いた光反応性プローブを展開することで打開することを想定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた合成計画が予想よりも効率的に進捗し、コストダウンが実現したために次年度使用額は生じた。この分は、計画を前倒しして着手している細胞内クリック反応の検討および可視化プローブの合成に対して使用する計画である。
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