研究課題/領域番号 |
22K05468
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
矢島 新 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (30328546)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カウラン / ジテルペン / 合成 |
研究実績の概要 |
本研究ではまずカウラン型ジテルペン類の簡便な合成法の確立を目指している。前年度までに確立したent-カウレノールを極めて安価なステビア甘味料を原料としてグラムスケールで安定的に供給する手法を用いて様々なカウラン型ジテルペンの合成に応用した。トウモロコシファイトアレキシンの一種であるカウラレキシン類の合成においては、カウラレキシンB1-B4の全ての合成を達成した。次に、カウラレキシン類の生合成経路および生合成酵素の同定のため、カウラレキシン類の生合成中間体として想定されるent-カウレン、ent-イソカウレンの合成を完了した。ent-イソカウレンは古くから知られる化合物であるが、本合成は初の化学合成である。また、周辺化合物の合成も完了している。 また、天然のカウラン型ジテルペン類によく見いだされる16β-ヒドロキシ基を有する化合物群の合成に応用可能な手法について検討した。その結果立体選択的エポキシ環形成反応を鍵段階とすることで16β-ヒドロキシ基を有するカウラン類の合成法を見いだした。本手法は16β-ヒドロキシ基を有するカウラン類合成法としてはじめての例である。確立した手法を応用して、バンレイシから単離されたカウラン二量体であるアノモシンAの合成を達成するとともに、アノモシンAの天然物の立体化学を確定した。 現在はカウラン類A環のC-H酸化反応について検討しており、低収率ながらA環が酸化されたと考えられる化合物が検出されており、さらなる反応条件の最適化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成研究に関しては研究計画通りに進んでいるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
合成したカウラレキシン類生合成中間体候補化合物を用いてカウラレキシン類の生合成経路の詳細を明らかにしていく。 またカウラン二量体天然物の合成を達成したので今後は多量体やそのほかのカウラン二量体構造を有する化合物の合成法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
合成研究が順調に進行したため試薬の購入代金が少なかったこと、遠隔地で開催される学会が少なく大会参加費が少なくて済んだため。本年度は多量体の合成や生物化学的な研究に関してより多くの使用額が見込まれる。
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