研究実績の概要 |
β-1,3-グルカンは食物繊維としての機能や免疫向上機能等が期待されている。しかし、β-1,3-グルカン摂取による抗β-グルカン抗体産生への影響ついては明らかでない。そこで本研究では、β-1,3-グルカンをマウスに摂取させ、血中および粘膜での抗β-グルカン抗体産生を検討した。これまでの検討により、β-1,3-グルカンを摂取すると肺粘膜における抗β-1,3-グルカン抗体価が上昇することが示された。そこで実行組織である肺粘膜において、IgA産生細胞が上昇しているか検討した。AIN-93Gを基本飼料とする対照群と比較して、AIN-93Gに5%パラミロンを添加し調整したパラミロン添加飼料をマウスに4週間自由摂取群では、肺組織でのIgA産生細胞数が上昇した。またそれらのホーミングに関わる接着分子の発現を検討したところ、発現が認められた。よって、パラミロン摂取は腸管でのIgA産生細胞を増加させ、ホーミングにより肺粘膜でのIgA産生も上昇することが示唆された。 腸管粘膜固有層には、樹状細胞やマクロファージ、好酸球といった自然免疫細胞が存在し、腸管バリア機構の重要な役割を担っている。腸管粘膜固有層の樹状細胞は、外来抗原に対する反応性を示し、粘膜面の防御機構として重要なIgAを誘導することが報告されている 。パラミロン摂取による粘膜におけるIgA産生は、パラミロンが腸管の自然免疫細胞を刺激することで起きている可能性がある。そこで、腸管粘膜固有層の樹状細胞およびマクロファージについて解析した。腸管粘膜固有層の樹状細胞およびマクロファージ細胞集団の割合を比較した。その結果、どの細胞集団も群間で有意な変化は認められなかった。
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