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2023 年度 実施状況報告書

オメガ3脂肪酸による骨粗鬆症予防法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05490
研究機関東京農工大学

研究代表者

平田 美智子  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40544060)

研究分担者 稲田 全規  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80401454)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード骨粗鬆症 / オメガ3脂肪酸
研究実績の概要

本研究の目的は、オメガ3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)とその代謝体による抗炎症効果や骨細胞への作用を解明し、骨粗鬆症の予防法の開発につなげることである。超高齢社会の到来により、閉経後骨粗鬆症や老人性骨粗鬆症の罹患者は1,200万人を越えて増加しており、日々の栄養摂取による骨の予防は喫緊の課題である。そこで、安全で食品として日常摂取が可能なオメガ3脂肪酸に着目した。EPAやDHAは心血管系疾患や炎症疾患のリスク低減や中性脂肪低下が知られているが、骨粗鬆症への有効性は明らかとなっていない。本課題では、骨への作用メカニズムを解明し、骨吸収と骨形成の双方の骨代謝制御機構を解明し、最終的には、骨粗鬆症に対する有効性を検討し、新たな骨粗鬆症予防法の開発を目指す。令和5年度は、前年度の研究成果をより詳細に解析することを目的に、オメガ3脂肪酸とその代謝体の骨吸収の作用解明においては、引き続き、DHAやEPA、その代謝体の骨吸収抑制作用について、培養系実験により骨代謝作用の解明と詳細な作用機序の解析を実施した。さらに、オメガ3脂肪酸の閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの有効性に関する試験を実施した。その結果、オメガ3脂肪酸は、破骨細胞分化抑制作用ならびに骨吸収抑制作用を有することが明らかとなった。オメガ3脂肪酸の骨への作用メカニズムの解析したところ、破骨細胞誘導因子の遺伝子発現を抑制することが認められた。従って、オメガ3脂肪酸が骨量低下を予防・改善する有効な因子であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は、前年度の研究成果をより詳細に検討するため、培養系実験により骨代謝作用の解明と詳細な作用機序を解析し、オメガ3脂肪酸とその代謝体について、破骨細胞分化抑制作用と骨吸収抑制作用の解析ならびに骨への作用メカニズムの解析を完了した。また、当初実施予定であった、閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの有効性に関する試験を実施した。その結果、オメガ3脂肪酸は、破骨細胞分化抑制作用ならびに骨吸収抑制作用を有し、その作用メカニズムを解析したところ、破骨細胞誘導因子の遺伝子発現を抑制することが認められたことから、骨量低下を予防・改善する有効な因子であることが示唆された。さらに、次年度実施予定であった、EPAとDHA、およびその代謝体の定量解析において、申請者らが有するLC-MSを用い、骨組織より測定サンプルを抽出する方法ならびに最適なカラム選定について、予備検討を行った。これらの成果は令和6年度の本課題を円滑に進め、順調な課題実施の進捗状況を示している。これら理由により、当初の計画以上に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

令和6年度の研究実施計画は、以下の項目について実験を実施する。閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの有効性に関する研究においては、大腿骨よりmRNAを抽出し、骨吸収関連因子の遺伝子発現、骨形成関連因子の遺伝子発現調節を解析して、骨細胞への影響を調べる。これらより、閉経後骨粗鬆症におけるDHAあるいはEPAの治療効果を立証する。さらに、閉経後骨粗鬆症モデルマウスにおけるEPAとDHA、およびその代謝体の定量解析においては、申請者らが有するLC-MSを用い、骨組織より測定サンプルを抽出する。最適なカラム選定作業としてEPA、DHA、およびその代謝体の精製標品を用いた予備検討を行い、MS/MS解析による分子の同定が可能となっている。本分析法を活用し、EPAおよびDHAのデリバリー解析、さらに、その代謝体の定量解析を行い、閉経後骨粗鬆症への治療効果を解析する。以上、研究計画あるいは研究を遂行する上での障壁はなく、順調な課題実施が可能である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] The stiffness and collagen control differentiation of osteoclasts with an altered expression of c-Src in podosome.2024

    • 著者名/発表者名
      Urano K, Tanaka Y, Tominari T, Takatoya M, Arai D, Miyata S, Matsumoto C, Miyaura C, Numabe Y, Itoh Y, Hirata M, Inada M.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 704 ページ: 149636

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2024.149636.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Establishment of a Triple Quadrupole HPLC-MS Quantitation Method for Dystrophin Protein in Mouse and Human Skeletal Muscle.2023

    • 著者名/発表者名
      Tominari T, Takatoya M, Matsubara T, Matsunobe M, Arai D, Matsumoto C, Hirata M, Yoshinouchi S, Miyaura C, Itoh Y, Komaki H, Takeda S, Aoki Y, Inada M.
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 25 ページ: 303

    • DOI

      10.3390/ijms25010303

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ルテインによる骨代謝調節作用の解析2024

    • 著者名/発表者名
      田中 優樹、富成 司、松本 千穂、平田 美智子、稲田 全規
    • 学会等名
      第20回ファンクショナルフード学会学術集会
  • [学会発表] オメガ3脂肪酸による破骨細胞分化の制御作用2024

    • 著者名/発表者名
      清水 絢介、田中 優樹、富成 司、稲田 全規、平田 美智子
    • 学会等名
      第20回ファンクショナルフード学会学術集会
  • [学会発表] ロイシンと運動刺激における骨格筋細胞の制御機構2024

    • 著者名/発表者名
      髙戸谷 賢、新井 大地、田中 優樹、清水 絢介、平田美智子、稲田 全規
    • 学会等名
      第20回ファンクショナルフード学会学術集会
  • [学会発表] 乳癌由来エクソソームの膜型HB-EGFは宿主のPGE2産生を誘導することで血管新生及び骨破壊を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      芳之内翔成、星野大輔、唐牛健杜、菅崎萌、平田美智子、丸山隆幸、稲田全規
    • 学会等名
      第32回日本がん転移学会学術集会・総会
  • [学会発表] 悪性黒色腫は膜型HB-EGFを介して骨芽細胞のPGE2産生と骨吸収を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      唐牛健杜、芳之内翔成、富成司、平田美智子、稲田全規
    • 学会等名
      第32回日本がん転移学会学術集会・総会
  • [学会発表] 廃用性筋萎縮における筋量制御因子の網羅解析2023

    • 著者名/発表者名
      富成 司、髙戸谷 賢、新井 大地、平田 美智子、青木 吉嗣、稲田 全規
    • 学会等名
      第9回日本筋学会学術集会・第10回筋ジストロフィー医療研究会
  • [学会発表] 前立腺癌細胞は膜型TGF-αを介して骨芽細胞のPGE2産生と骨形成を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      菅崎 萌 、唐牛 健杜、芳之内翔成、平田美智子、稲田 全規
    • 学会等名
      第41回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 前立腺癌由来エクソソームの膜型 HB-EGF による骨吸収誘導2023

    • 著者名/発表者名
      池田 圭佑、芳之内翔成、松本 千穂、平田美智子、稲田 全規
    • 学会等名
      第41回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 廃用性筋萎縮モデルマウスを用いた遺伝子発現の網羅解析2023

    • 著者名/発表者名
      春日 麗、富成 司、松本 千穂、平田 美智子、青木 吉嗣、稲田 全規
    • 学会等名
      第41回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 廃用性筋萎縮における筋分解関連因子の時系列的な発現変動2023

    • 著者名/発表者名
      富成 司、髙戸谷 賢、新井 大地、平田 美智子、青木 吉嗣、稲田 全規
    • 学会等名
      第41回日本骨代謝学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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