研究課題
2022年度4月には、応募書類中に記載していた研究実施計画のうち、[1]である「ホウキタケ」冷凍保存物及び「ホウキタケ塩つけ」を大量に購入し、「ホウキタケ」(食用キノコ)中に存在する抗酸化物質pistillarinと、pistillarinを天然塩で塩つけすると生じる新規物質pistillarin Bをそれぞれ単離した。その後、pistillarinの詳細な抗酸化活性評価と、pistillarinを天然塩で塩つけすると生じる新規物質pistillarin Bの化学構造・抗酸化活性・推定生成機構に関する学術論文作成してJournal of Medicinal Mushroomに投稿し、無事受理された。また8月にはこれも申請書に計画[2]として記載していた「サフランめしべ」を大量に購入し、その中の色素(crocetin配糖体類)の調理による化学変化(糖の加水分解、オレフィンのcis化)、抗酸化活性(一重項酸素消去活性)についての研究もまとめることができたので、Frontier in Nutrition誌に学術論文を投稿し、こちらも無事受理された。現在は新たな食材として食用キノコ類を中心に新たな抗酸化活性物質を探索中で、「ハナイグチ」中に新たな抗酸化成分が存在することを見出し、すでに構造決定済である。今後、これらの抗酸化活性を詳細に調べたのち、学術雑誌へ投稿する予定である。また新たな食用キノコの入手も現在手配中である。さらに抗酸化活性評価系として動物細胞を用いるものを構築中で、ここまでにラジカル活性酸素種によるN18(脳神経細胞ハイブリドーマ)細胞死を抑制する抗酸化活性物質の評価系(脳出血等のモデル実験)、皮膚細胞への紫外線照射によって生じる活性酸素障害を抑制する抗酸化活性物質の評価系を構築中である。
1: 当初の計画以上に進展している
研究実績の概要に記載したように、申請書の計画[1], [2]に明らかにしたいこととして記載した2項目については、研究初年度に研究が完了し、学術論文として報告することができた。現在は計画書には[1], [2]が完了したのちの予定として記載した部分に研究は移行しており、その中でも「ハナイグチ」から新規抗酸化活性物質の単離・構造解析が完了している。また申請書には記載しなかった新たな動物細胞による抗酸化活性物質評価系の構築にも着手できている。
ここまでは研究は計画を上回るペースで進行できている。今後もこれまで同様の進め方を維持して、研究期間内により多くの結果を出すように努力したい。
研究代表者の経理処理に少額の誤り(268円)があったので、これを繰り越した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Int. J. Med. Mushrooms
巻: 7 ページ: 67-75
10.1615/IntJMedMushrooms.2022044322
Frontier in Nutrition
巻: 9 ページ: -
10.3389/fnut.2022.885412