研究課題/領域番号 |
22K05525
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
一瀬 智美 (森川智美) 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (70898527)
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研究分担者 |
藤村 由紀 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20390304)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝線維化 / ファイトケミカル / 非コードRNA / メタボロミクス |
研究実績の概要 |
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)は脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、そこから進展する肝硬変、肝細胞がんを含む一連の脂肪性肝疾患群である。慢性炎症と線維化を特徴とするNASHへの詳細な移行機序は未だ不明な点が多く、有効な治療薬はない。一方、NASHへの進行を防ぐ方策として、食生活の改善による効果が期待されているが、その科学的エビデンスは未だ不十分である。 本研究は、NASH線維化と関連する非コードRNA(マイクロRNAあるいは環状RNA)の包括的解析および非コードRNAを介して制御される代謝動態を統合的に捉えることで、線維化の病態形成機序の一端を解明すると共に、食機能評価への応用を推進することを目的としている。そのため、①線維化の進展とその制御に関与する非コードRNAと代謝物の統合解析、②非コードRNAと代謝物の挙動を指標としたファイトケミカルの抗線維化活性の評価を実施する。 本年度は、NASH病態の形成に資する肝星細胞の活性化過程における親水性および疎水性代謝プロファイルを取得した。また、上記の細胞を次世代シーケンス解析に供し、活性化肝星細胞のマイクロRNAおよびmRNA発現プロファイルを取得した。 発現変動したマイクロRNAの標的遺伝子予測ならびにパスウェイエンリッチメント解析を行い、mRNA発現プロファイルとの比較解析を進めている。また、これらのデータに基づいて線維化病態の進行と関連する代謝物の探索を行い、線維化病態の形成メカニズムにおけるmiRNA-mRNA-代謝物の統合解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線維化病態の進行と関連する肝星細胞のメタボローム情報・マイクロRNAおよびmRNA発現プロファイルの取得は完了しているため、研究計画全体の進捗としておおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
肝線維化に関連したmiRNA-mRNA-代謝物プロファイルに基づいて、環状RNA発現についても解析を進める。これら非コードRNAと代謝物の挙動を指標とした、モデル細胞・動物における食品成分による抗線維化活性の新たな評価系の構築を目指す。
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