研究課題/領域番号 |
22K05526
|
研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
立松 憲次郎 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (70381720)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | トリステアリン / 完全水素添加油脂 / Hep-G2 / 5-FU / リパーゼ |
研究実績の概要 |
完全水素添加菜種油(FHCO)を脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)に摂取させると、致死性の脳卒中をはじめとする各種病態が抑制される。この現象は、植物ステロールの蓄積抑制や、ドコサヘキサエン酸(DHA)の蓄積増加など特異的な分子輸送が関与すると推測される。この分子輸送にFHCOが関与することを仮説として、FHCOを利用した特異的分子輸送の可能性を検討することとした。 初年度はFHCOのミセルの形成と培養細胞への影響について検討した。 FHCOのミセル形成は溶解性の時点で上手くいっておらず、有機溶媒や界面活性剤の添加の有無、反応温度などの条件を検討するも、リパーゼ反応処理を行えていない。今後は界面活性剤を加えるなどして、条件検討を図っていきたいと考えている。 一方、ヒト肝細胞のHepG2に対する5-FUの細胞毒性に対して、エタノールに溶解させたFHCOをなにも反応をかけていない状態で添加すると、毒性が増強されることを確認した。FHCOの主成分であるトリステアリンは消化酵素などの反応を受けず、そのままの形で分子輸送を助ける可能性があるかもしれない。濃度や時間変化、輸送する低分子化合物の特徴等を検討するとともに、他の細胞種、または、マウスやラットなどのin vivoの系へも導入を行い、DHAや植物ステロールの臓器蓄積における詳細を検討することで、「食べるDDS」の実現への取り掛かりを作りたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
FHCOをリパーゼで分解しミセル形成をさせることを目的として、反応系を立ち上げることを行ったが、FHCOを水溶系に溶解、または、リパーゼを溶媒系に溶解させ反応を行うことに難航し、成功に至っていない。 また、自分が体調を崩し実験ができない期間が生じたため、これも遅延した一因となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
1.FHCOをリパーゼで分解する系の開発に取り組む。 2.1.が成功しなかった場合に備え、ステアリン酸とモノステアリンでミセル形成が可能かを検討する。 3.FHCO添加による細胞毒性作用の増強をさらに詳しく観察するために、時間、濃度の影響、他の細胞種への影響、または、他の生理活性物質への修飾作用の検討も行う。 4.実験動物へのFHCOの影響をさらに詳しく見るために、DHAや植物ステロールを添加した食事をFHCOとともに摂取させ、その取り込み率の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
PCRに用いるサーマルサイクラーが故障し、研究に支障をきたしている状態であり、 これの購入資金の予算確保のため。
|