研究課題/領域番号 |
22K05530
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
遠藤 泰志 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60194049)
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研究分担者 |
村松 宏 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (20373045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水晶振動子 / 加工食品 / 酵素反応 |
研究実績の概要 |
近年、酵素反応を用いて、加工食品が製造されることが多くなってきた。製品の製造の進行度を確認するには、反応の途中で経時的にサンプリングして、そのサンプルを分析することで、製品がどの程度製造されているかを確認する必要がある。そのため、リアルタイムで酵素反応の進行度を計測できることが望まれているが、本研究では、微量の質量や粘度の変化を測定できる水晶振動子センサーを用いて、共振周波数および共振抵抗の変動から加工食品製造における酵素反応の進行度をリアルタイムで評価できるシステムを構築することを目的とする。 2022年度は、エステラーゼ反応に水晶振動子センサーの利用を試みた。食品のフレーバーとしてエステル化合物が良く用いられるが、エステル化合物は、アルコールとカルボン酸との反応で合成される。そこでまず、炭素数の異なるアルコール、カルボン酸、エステルについて、勝振動子センサーの共振周波数と共振抵抗の特徴を調べた。アルコールとして、メタノール、エタノールとプロパノール、カルボン酸として酪酸、ヘキサン、オクタン酸を、またエステルとして、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、オクタン酸プロピルの共振周波数と共振抵抗を測定した結果、エステル化合物は、アルコールやカルボン酸に比べて、共振抵抗が低いことが分かった。このことは、エステル化反応が進むにつれ、共振抵抗が下がることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、食品のフレーバー成分であるエステルとその原料であるアルコールとカルボン酸の水晶振動子センサーにおける共振周波数と共振抵抗の特徴を明らかにしたが、これら酵素反応の基質を取得するのに時間を要したため、酵素反応への応用に至らなかった。しかし、2022年度の研究結果は、アルコールとカルボン酸のエステル化反応のモニタリングとして、水晶振動子センサーの有効性が示唆されたので、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、リパーゼを用いて、アルコールとカルボン酸からエステル化合物の合成反応を水晶振動子センサーでモニタリングすると共に、リパーゼによる油脂の加水分解反応についても水晶振動子センサーを利用する。具体的には下記の試験を実施する。 1.食品フレーバー用エステル化合物の酵素的合成 カルボン酸としては、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸を、アルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノールを用いる。これらを混合した後、水晶振動子センサーのセル内に入れ、40~60℃に保持した後、微生物由来固定化リパーゼを加え、経時的に共振周波数と共振抵抗を測定する。また、反応生成物を経時的にサンプリングし、エステル化合物をガスクロマトグラフィーで測定し、共振周波数と共振抵抗との相関性を評価する。 2.食品成分の酵素的加水分解 乳製品のフレーバーとして、乳脂のリパーゼ加水分解物が利用されているので、乳脂と水からなる乳化物を水晶振動子センサーのセル内に入れ、40~60℃に保持した後、微生物由来固定化リパーゼを加え、経時的に共振周波数と共振抵抗を測定する。また、反応生成物を経時的にサンプリングし、油脂の加水分解物である遊離脂肪酸と部分グリセリドをイアトロスキャンで測定し、油脂の加水分解率及び各加水分解物の生成量と共振周波数及び共振抵抗との関係性を明らかにする。また、食品加工に用いられるリパーゼ以外の酵素による反応として、アミラーゼを用いたでんぷんの加水分解反応による二糖類と単糖類の合成や、乳酸菌によるヨーグルトの製造において、水晶振動子センサーによる酵素反応や醗酵の程度を評価することも行う。 とくに、水晶振動子センサーによる酵素反応のリアルタイムモニタリングから、上記の酵素の活性の評価を行うことが可能であることを証明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度では、エステル化反応に関する研究が主であったため、リパーゼ以外の酵素による反応を行わなかった。そのため2022年度では、リパーゼ以外の酵素(アミラーゼ)や乳酸菌を購入しなかったので、2023年度では、これらの試薬類を購入すると共に、酵素反応及び発酵試験用の水晶振動子センサーを新たに購入する。
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