食品加工に用いられる酵素反応のリアルタイムでのモニタリングに水晶振動子センサーが有効であるか調べた結果、下記のように水晶振動子センサーの有効性を認めた。 2022年度:エステラーゼ反応に水晶振動子センサーの利用を試みた。アルコールにメタノール、エタノールとプロパノールを、カルボン酸に酪酸、ヘキサン、オクタン酸を、エステルに酪酸 メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、オクタン酸プロピルの共振周波数と共振抵抗を測定した結果、エステル化合物は、アルコールやカルボン酸より共振抵抗が低いことが分かった。 2023年度:1)リパーゼによる脂肪酸のエステル化反応:脂肪酸にオレイン酸、リノール酸、リノレン酸を、アルコールにメタノール又はエタノールを混合した後、37℃にて固定化リパーゼでエステル化反応を行ない、水晶振動子センサーで経時的に共振周波数と共振抵抗を測定した。その結果、脂肪酸やアルコールの種類に関係なく、共振抵抗が低下した。 2)リパーゼによる油脂の加水分解反応:油脂にトリオレインを用いて緩衝液中で豚膵臓リパーゼによる加水分解反応を40℃で行って、水晶振動子センサーで経時的に共振周波数と共振抵抗を測定した。その結果、トリオレインの加水分解に伴い共振抵抗が低下した。 3)アミラーゼによるデンプンの加水分解反応:デンプン水溶液にアミラーゼを添加した後、37℃にて水晶振動子センサーで共振抵抗を測定した結果、酵素活性が高いほど、共振抵抗の減少が大きかった。共振抵抗を測定することにより、アミラーゼによるデンプンの加水分解をリアルタイムでモニタリングすることが可能と示唆された。 これより、水晶振動子センサーは、食品加工に使われる酵素反応をリアルタイムでモニタリングするのに有効であると示唆された。
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