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2022 年度 実施状況報告書

糖尿病態ラットの血栓性脳梗塞に対する機能性食品と治療薬との併用効果

研究課題

研究課題/領域番号 22K05545
研究機関城西大学

研究代表者

岩田 直洋  城西大学, 薬学部, 助教 (50552759)

研究分担者 日比野 康英  城西大学, 薬学部, 教授 (10189805)
岡崎 真理  城西大学, 薬学部, 教授 (50272901)
神内 伸也  城西大学, 薬学部, 教授 (80433647)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード機能性食品 / 血栓 / 糖尿病 / 脳梗塞 / 酸化ストレス / 抗血栓薬
研究実績の概要

脳梗塞に代表される虚血性脳血管障害は、我が国の死亡原因の上位を占めており、これらの発症には、糖尿病をはじめとする生活習慣病を危険因子とし、アテローム性動脈硬化などによる血栓形成が関与している。血栓形成は、突発的に発症することから予測することが困難であることや脳においては適応時間の制約などから薬物による根治は難しく、一次予防となりうる機能性食品が有用であると考える。これまでに抗血栓効果を有する食品を探索した結果、シイタケ菌糸体からの抽出物に有用性を見出したが、糖尿病併発時における血栓性脳梗塞に与える効果やそのメカニズムについは明らかになっていない。そこで本研究では、糖尿病と血栓性脳梗塞併発時におけるシイタケ菌糸体抽出物による脳保護メカニズムを明らかにするとともに、治療薬との併用によって薬剤の治療可能時間域を延長し得るか検討することを目的とした。
初年度計画としては、塩化鉄曝露による血栓形成モデル動物を用いて、シイタケ菌糸体抽出物による抗血栓メカニズムの解析を行った。まず、血小板凝集シグナル経路の下流に位置する血小板膜糖タンパク質であるGPIIb/IIIaの活性化の指標として、フィブリノーゲンとの結合力について評価した。その結果、これら結合能に対するシイタケ菌糸体抽出物の効果はそれほど強くないことが認められた。そこで次に、血管組織に対するシイタケ菌糸体抽出物の効果を検討した。フィブリン血栓の形成や血小板活性化に関与する組織因子(TF)の発現を解析した結果、塩化鉄曝露で増加したTFの発現をシイタケ菌糸体抽出物によって減少させる傾向がみられた。
以上のことから、シイタケ菌糸体抽出物の継続的な摂取は、塩化鉄曝露による血管障害から内皮保護することによって血栓形成を抑制する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実施項目として以下の5項目を計画しており、1)塩化鉄曝露による血栓形成モデル動物を用いて、シイタケ菌糸体抽出物による抗血栓メカニズムの解析を行う。2)糖尿病態ラットの血栓形成メカニズムを検討するとともにシイタケ菌糸体抽出物の効果の有無について判定する。3)糖尿病態と血栓性脳梗塞併発モデル動物を作製し、脳障害増悪の機序について解明する。4)シイタケ菌糸体抽出物の単独あるいは、薬剤併用との効果を判定する。5)シイタケ菌糸体抽出物併用によるt-PAの治療可能時間域への影響について検討することを計画した。
初年度にあたる2022年度では、上記にある項目1)について実施している途中であるもののシイタケ菌糸体抽出物による抗血栓メカニズムの一因について明らかになりつつあることから、引き続き、詳細な検討を行う予定である。一方で、当初の予定では次年度行う項目3)についてモデル作製の条件検討を行う計画であったが、項目1)に時間を要したことから未実施となった。以上のことから、当初計画よりやや遅れているものと考える。

今後の研究の推進方策

上記の進捗状況欄に記入した項目より、項目1)の解析については継続する予定である。次に、今年度実施できなかった糖尿病態ラットをストレプトゾトシン投与によって作製する。糖尿病態は血栓形成を促進することが知られており、凝固系因子などの発現が非糖尿病時と比較して大きく変化していることが考えられることから、内因系/外因系凝固因子について解析する。さらに、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、カルシウム再加時間、フィブリノーゲン量、血小板凝集試験、プラスミン活性、出血時間に対する作用を解析するとともに、シイタケ菌糸体抽出物による抗血栓効果の有無について判定する予定である。
以上の研究計画は、これまで通り各実験項目の分野に精通した共同研究者を責任者とし、実験経過や成果について充分な協議、考察の上で研究を推進し、かつ問題点に対処していく。

次年度使用額が生じた理由

上記の計画にある実験項目1)の実施に時間がかかったことで、糖尿病態モデル動物の条件検討が遅れたため、購入するはずだった実験動物を次年度に持ち越したことから、それに伴って購入する予定であった試薬消耗品費についても見送ることとなり、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] L-NAME誘発による動脈硬化モデルラットの血栓形成に対する 椎茸菌糸体培養培地抽出物(LEM)の効果2023

    • 著者名/発表者名
      須賀 健太、柏木 まり、岩田 直洋、神内 伸也、久保田 真、飯塚 博、岡崎 真理、日比野 康英
    • 学会等名
      第143年会
  • [学会発表] 光血栓性脳卒中ラットにおけるフェルラ酸誘導体 FAD012 の脳保護効果2023

    • 著者名/発表者名
      周郷 広史、松﨑 広和、岩田 直洋、玄 美燕、髙山 淳、坂本 武史、袁 博、岡崎 真理
    • 学会等名
      第143年会

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公開日: 2023-12-25  

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