研究実績の概要 |
申請書提出以降に Bifibacterium longum subsp. longum のゲノム中に存在するGH43クラスターのうちBLLJ_1850とBLLJ_1851についての論文が受理された。これでロンガムがもつ9個のGH43遺伝子のうち7個の解析が終了し論文化することができた。令和4年度は未着手であったBLLJ_1718とBLLJ_1719の解析を実施した。BLLJ_1719はpNP-α-Arafを分解しアラビナンやアラビノキシランからアラビノースを遊離させた。アラビノキシラン由来オリゴ糖を用いた試験の結果、α1,2-Arafとα1,3-Arafのシングル置換側鎖構造を切断し、ダブル置換構造には作用しなかった。またアラビナンの主鎖構造であるα1,5-結合のアラビノオリゴ糖にも作用したことから、比較的広い基質特異性を有するエキソ-α-L-アラビノフラノシダーゼであることが明らかになった。一方、BLLJ_1718はpNP-α-Arafをほとんど分解せず、pNP-α-Arapを切断した。アラビノキシランオリゴ糖に対しては、α1,2-Arafとα1,3-Arafのシングル置換およびα1,2/3-Arafダブル置換構造に作用したが、分解は非常に遅かった。またアラビナンやアラビノキシランからAraを遊離しなかった。本酵素は、B. longum の他のGH43とは異なるエキソ-α-L-アラビノピラノシダーゼであると考えられるが、今回アラビノピラノースを含む天然基質が入手できなかったため詳細な解析が行えていない。アラビノピラノースは、オタネニンジン由来の配糖体Ginsenosideや、植物細胞壁にも含量は少ないながら存在することが報告されているため、これらの資化に関わる酵素であることが示唆された。
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