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2023 年度 実施状況報告書

ビフィズス菌の特異な植物多糖代謝系をターゲットにした新規プレバイオティクスの創製

研究課題

研究課題/領域番号 22K05548
研究機関近畿大学

研究代表者

芦田 久  近畿大学, 生物理工学部, 教授 (40379087)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードビフィズス菌 / グリコシダーゼ / プレバイオティクス
研究実績の概要

ヒトミルクオリゴ糖の骨格に含まれる二糖ユニットであるラクト-N-ビオースI(Galβ1-3GlcNAc)は、ビフィズス菌 Bifidobacterium bifidum や B. longum に選択的に利用されるため、腸のビフィズス菌を増殖させるプレバイオティクスの有望な候補である。これまでに、北岡らによりラクト-N-ビオースIホスホリラーゼの逆反応を用いた酵素合成法が確立されているが、食品としての実用化には至っていない。本年度、植物やキノコ由来の細胞壁・複合糖質にラクト-N-ビオースIユニットが含まれている可能性を考え、野菜やキノコなどの食品素材からビフィズス菌由来のラクト-N-ビオシダーゼを用いてラクト-N-ビオースIを遊離生成させることを試みた。各種食材を熱水抽出し、粗糖画分を得たのち、透析することで低分子量の物質を除去した。これらの糖鎖画分に、以前に私たちが同定したビフィズス菌由来のGH20ラクト-N-ビオシダーゼの遺伝子組換え酵素を添加し、遊離する2糖をTLCで分析した。その結果、市販ブナシメジから抽出した糖鎖画分からラクト-N-ビオースIと推定される2糖の遊離を確認した。この2糖はさらに、ビフィズス菌由来の組換えラクト-N-ビオースIホスホリラーゼによりガラクトース-1-リン酸とN-アセチルグルコサミンに加リン酸分解されたことから、ラクト-N-ビオースIであることが確認された。今後は各種機器分析により厳密な同定を実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初は植物性多糖に着目していたが、探索の範囲を食用キノコ類に広げたところ、興味深い知見が得られた。

今後の研究の推進方策

市販ブナシメジ由来の糖質画分から遊離したラクト-N-ビオースIの厳密な構造決定を実施する。具体的には質量分析や1H-NMRを使用する計画である。遊離したラクト-N-ビオースIやブナシメジ由来の糖質画分の各種ビフィズス菌に対する増殖促進効果を評価する。ブナシメジの液体培養を試み、食用キノコの子実体あたりのラクト-N-ビオースIの収量と比較し、液体培養条件を検討してラクト-N-ビオースIの収量増加を図る。

次年度使用額が生じた理由

食用キノコの検討を優先し、植物性多糖のバルク処理を先送りしたため、予算を次年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A bacterial sulfoglycosidase highlights mucin O-glycan breakdown in the gut ecosystem2023

    • 著者名/発表者名
      Toshihiko Katoh, Chihaya Yamada, Michael D. Wallace, Ayako Yoshida, Aina Gotoh, Moe Arai, Takako Maeshibu, Toma Kashima, Arno Hagenbeek, Miriam N. Ojima, Hiromi Takada, Mikiyasu Sakanaka, Hidenori Shimidzu, Keita Nishiyama, Hisashi Ashida, Junko Hirose, Maria Suarez-Diez, Makoto Nishiyama, Ikuo Kimura, et al.
    • 雑誌名

      Nature Chemical Biology

      巻: 19 ページ: 778~789

    • DOI

      10.1038/s41589-023-01272-y

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ビフィズス菌増殖因子であるラクト-N-ビオースを産生するキノコの探索2023

    • 著者名/発表者名
      片岡将吾, 芦田久
    • 学会等名
      第11回 近畿大学大学院 院生サミット in Hiroshima
  • [学会発表] ムチン糖鎖のコア構造に作用するビフィズス菌由来GH129酵素の解析2023

    • 著者名/発表者名
      川崎淳矢, 芦田久
    • 学会等名
      第11回 近畿大学大学院 院生サミット in Hiroshima
  • [学会発表] Bifidobacterium longum subsp. longum 由来の GH43 酵素の解析2023

    • 著者名/発表者名
      丸賀隆正、内藤莉奈、芦田久
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会2023年度大会(第72回)
  • [学会発表] Akkermansia muciniphila 由来の糖質加水分解酵素ファミリー84 (GH84)の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      谷 悠人、芦田久
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会2023年度大会(第72回)
  • [学会発表] ムチン糖鎖のコア構造に作用するビフィズス菌由来 GH129 酵素の解析2023

    • 著者名/発表者名
      川﨑淳矢、菅原仁太郎、芦田久
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会2023年度大会(第72回)
  • [学会発表] 腸内細菌由来グリコシダーゼを用いたムチン脱グリコシル化のための酵素ツールの構築2023

    • 著者名/発表者名
      桝本麗花子、芦田久、片山高嶺、加藤紀彦
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会2023年度大会(第72回)
  • [学会発表] B型血液型抗原に特異的なビフィズス菌の酵素の構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      翁晴、鹿島騰真、廖増威、宮永顕正、芦田久、伏信進矢
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会東日本支部ミニシンポジウム
  • [学会発表] Sda抗原に特異的に作用するビフィズス菌由来のバイファンクショナル酵素2023

    • 著者名/発表者名
      片岡将吾、川﨑淳矢、神尾圭次郎、加藤紀彦、片山高嶺、芦田久
    • 学会等名
      第49回 日本応用糖質科学会近畿支部会
  • [学会発表] Bifidobacterium bifidum degrades sulfated mucin O-glycans via a sulfatase-independent pathway2023

    • 著者名/発表者名
      Toshihiko Katoh, Chihaya Yamada, Michael D. Wallace, Ayako Yoshida, Aina Gotoh, Moe Arai, Takako Maeshibu, Toma Kashima, Arno Hagenbeek, Miriam N. Ojima, Hiromi Takada, Mikiyasu Sakanaka, Hidenori Shimizu, Keita Nishiyama, Masanori Yamaguchi, Hisashi Ashida, Junko Hirose, Maria Suarez-Diez, et al.
    • 学会等名
      GLYCO26
    • 国際学会
  • [備考] researchmap - 芦田久

    • URL

      https://researchmap.jp/ashida

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公開日: 2024-12-25  

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